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【03/和馬】秘密③
「キス、したいならすればいいのに」
「なっ……いや、ご、ごめっ……」
ある日、優斗の寝顔を眺めていると、急に優斗が目を覚ました。オレは激しく動揺した。
「優斗のこと、好きなんでしょ?」
「そ、それはっ……あのっ、や、ごめっ」
「優斗は君のことを大切な友達だと思っているよ」
「あぁ、そうだな、そうだよな」
「関係を壊したくないんでしょ? でも、好きな気持ちは止められない、だよね?」
いつもの優斗と雰囲気が違う。でも、その違和感を無視してしまうほど、オレは動揺していた。
「僕はいいと思うな。眠っている時、こっそりキスしちゃうくらいは黙認するよ?」
「優斗……?」
「キスしたいならすればいいよ」
優斗はこんな冗談を言うタイプじゃない。次第にオレは眉をひそめた。
「優斗、どうした?」
「あぁ、ごめん。違うよ、僕はユウ」
「ユウ?」
「そ、ユウだよ。よろしくね」
そいつはユウと名乗った。優斗は、いわゆる二重人格だったんだ。
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