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【04/優斗】僕の母①

「なんなんだよ……」 怒りに任せて歩いていた。 「なんなんだよっ!」 制服ではどこにも行けない。家にはあまり帰りたくない。でも、行く当てはない。 「あいつ……」 一度ならず二度までもキスを……許せない。怒りに震えながら、ゴシゴシと唇を拭った。 僕は蒼生なんて知らない。なのに向こうは知った様子だった。そして、あの顔――。 「なんなんだよっ……」 何だ? 悪いのは僕なのか? 確かに行った覚えのない場所にいた。 でも、本を読まない僕がなぜ図書館に? 何のために? どうやって? 目を閉じたまま2キロも歩いたのか? それであんなお友達まで作ったと? ありえない! やはり蒼生ってやつから、もっと話を聞くべきだった。……いや、嫌だ。もう会いたくない。 「病院……」 そうだ、病院に行こう。和馬も行くべきだと言っていた。 なら、お金が必要だ。お金……気は進まないが、家に帰るしかなさそうだった。

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