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【05/蒼生】決意①

遅刻も、保険室で過ごしたのも初めてだったよ。 「ユウ……」 何が起こったのか分からない。分からないからモヤモヤするし、 放課後こうして図書館に向かって歩いてしまう。 朝のことは何かの間違いで、ひょっこりユウが現れるかもしれないからね、行かないという選択肢はなかった。 *** いつもの席で、読みかけの本を開いた。 しおりを丁寧に置き、文字を目で追ったけれど、内容が頭に入らなくて困ったよ。つい同じところばかり読んでしまう。 本を諦めて、参考書を広げてみても結果は同じだった。だから気分を変えようと、窓から外を眺めてみたんだ。 「っ!」 ユウだった。木陰から、こちらを見ている。 「ユウ!」 目が合うと、ユウは哀しそうに笑った。 何が起こったのかは分からないけれど……今、目の前にいるのは俺が知っているユウだと、すぐに分かったよ。 全面ガラスのカウンター席。俺は立ち上がり、入り口に向かって歩いた。身体が勝手に動いたんだ。 そんな俺に合わせて、ユウも歩きだした。ガラス越しに交わす視線は、安心と不安が入り混じっていたよ。 早くユウと話がしたかった。 俺は気付けば走りだしていて、それはユウも同じで…… 入り口の自動ドアが開くと、ユウは泣きながら俺の胸に飛び込んできた。 戸惑い、怒り、悲しみ、色々な感情が溢れたけれど、一番強く感じたのは安堵だった。 ユウが俺の腕の中にいる、その事実が朝の悪夢を拭い去った。 でも、疑問は残ったままだからね。俺はユウを抱きしめて、耳元で囁いたんだ。 「話してくれるかい?」 ユウは小さく、頷いた。

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