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【11/和馬】初診①
「和馬くんのお願い、ちゃんと叶えましたよ?」
神永先生の指が、オレの肩を這っていく。不快だが、好きなようにさせた。
「ちゃんと付き添って、話をきいてきました」
耳元にかかる息に反応し、僅かに首をすくめながら、お礼を伝えた。
「あ、ありがとうございました」
友達だろうが恋人だろうが、付き添ったところで診察室には入れない。
だが、教師なら話は別だった。優斗が願えば、医師の説明を受けることができる。
優斗1人では、途中でユウに代わって帰ってきてしまう可能性もあったし、
あいつの理解力には不安があるというか……ちゃんと大人にも話をきいてもらいたかった。
だから神永先生にお願いした。そして昨日、神永先生と優斗は病院へ行った。
昨夜、優斗からも話は聞いている。だが、優斗の説明では分からないことも多かった。
「優斗くんの許可もありますし、今から説明しましょうか?」
「お願いします」
神永先生は微笑みながらオレの背中に掌を添えて、ドアの方へ軽く押した。
「個人情報ですから、人目につかないところで……ね?」
オレは促されるがままに歩いた。
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