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【20/和馬】意味①

「はぁ……」 何度目か分からない溜息をついた。時計なんて見るまでもなく、遅い時間だ。夕飯は食べずに待っていたが、さすがにもう食べても良いかもな。 「着信もメールもなしか……」 スマホを見つめる。いつも必ず折り返しの連絡をくれる優斗がそれをしないってことは、つまりオレに連絡をする気がないってことだった。 ここに帰らないという事は、きっと実家だ。優斗の実家の住所は登録してあるが、行ったことはない。地図アプリで確認してみた。 「8キロか……まぁまぁの距離だな」 もし優斗が母親とトラブっていたらオレの責任だ。少し迷ったが、行ってみることにした。 鞄からルーズリーフを取り出し、油性ペンでメッセージを書く。スマホの充電が切れているのかもしれないし、念のためドアに貼っておこうと思った。 『実家に迎えに行きます。来てくれたのなら、入って待っていてください。』 すぐに書いた紙とガムテープをつかみ、立ち上が……ろうとして、ふと読み返した。 敬語から滲み出る距離感に、優斗が逃げだす気がしてならない。クシャクシャと丸めると、新しい紙に書きなおした。 『実家に迎えに行くよ。もし来てくれたなら入って待っててね。』 読み返し、キモさに震える。 予想外のところで手間取った。何度も何度も書きなおす。 『おまえの実家に行く。入れ違うと困るし、中で待ってろよ』 やっと普通に書けたそれをドアに貼り、オレは走った。

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