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【20/和馬】意味②
優斗の家には、優斗も優斗の母親もいなかった。
ここにいないなら……ふと、あいつの顔が浮かんだ。ユウが入れ替わり、蒼生の家に行った可能性がある。もしそうなら……気が狂いそうだった。
「蒼生っ……」
頑張れば頑張るほど離れていくものを、蒼生は簡単に手に入れた。触れたくても触れられないものに、あいつは遠慮なく触れる。
高校を卒業して、優斗が自立したら、この想いを伝えようと思っていた。それが理想だった。自立するまでは、優斗が安心して帰れる場所であることが最優先事項だった。優斗を守りたい、その気持ちだけは誰にも負けない。
正直、待つのは苦しい。オレはおまえが好きなんだと、何度も伝えそうになった。でも……必死に堪えた。困らせたくない、傷つけたくない、壊したくない。それらは全て、オレが告白を先延ばしにする言い訳でしかなかったのか?
このまま理想を貫いてもいい。だけどそうして蒼生に、全部持っていかれたら? オレは正気でいられるのか?
全てが分からなくなった。真っ暗な優斗の実家を眺めながら、オレは途方に暮れた。
***
どれくらい時間が経っただろう。人気のない夜道を歩き、部屋に戻った。ドアの貼り紙を雑に剥がし、部屋に入る。優斗がいるかもしれないという1ミリの期待はあっさり裏切られ、オレは泣いた。
「優斗っ……」
嫌われた。きっと嫌われた。オレのことを、きっと気持ち悪いと思っているんだ。
「優斗っ……」
嫌われるのは仕方ない。でも、せめて誤解は解きたい。どうせ嫌うなら、オレの気持ちを全て知ってから嫌えばいい。
…………でもやっぱり嫌われたくない。どうすれば良いのか分からない。頭の中はぐちゃぐちゃだった。
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