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【24/和馬】想い①

一緒に寝たいと言われ、驚いた。まさか優斗から言い出すとは思わなかったからだ。 嬉しいが、内心複雑だった。一緒に寝るなんて生殺しだ。また優斗を傷つけてしまうかもしれないと思えば、安易に触れられない。 かといって、突き放しても傷つけることは分かっていた。だからなるべく笑顔で、優斗の頭を撫でた。“ごめん” と “ありがとう” を込めて。  *** 「中堅なんですね」 部活が終り中庭へ出ると、神永先生が立っていた。 「顧問の清水先生から聞いたんです」 「あぁ」 「団体のメンバー唯一の2年生が中堅だなんて、凄いじゃないですか」 中堅は、一般的に強いヤツを配置すると言われている。だが、実際には戦略次第だ。中堅だから凄いとは限らない。 「別に凄くないです」 とはいえ、プレッシャーを感じずにはいられなかった。5人のうち3番目に試合をするポジションだ。前の2人が負けていた場合、オレも負けたら勝負が決まってしまう。 「あと2週間ですか……もうすぐですね」 「はい」 「応援に行きます」 「来なくていいです」 「優斗くんも連れて行きますから」 「オレたちに構わないでください」 睨むと、神永先生は肩をすくめた。 「私はわりと本気なんですよ? いつになったら受け入れてもらえるんでしょうねぇ」 オレは神永先生の声を無視して、その場を去った。 *** 更衣室のロッカーの中で、スマホが鳴っていた。 「さっきからずっと鳴ってんぞ?」 「すまん」 めったに鳴らないスマホが鳴っている。鍵を開けて取り出すと、画面には知らない番号が表示されていた。 「もしもし……」 「蒼生です。和馬くんの携帯で合ってるかな?」 番号を教えた記憶はない。 「……何だ?」 「今、優斗がウチに来てる。来たのはユウなんだけどね……ちょっと困った状況なんだ」 ユウが蒼生の家に行って、そこで優斗に入れ替わったのか。そこまでは簡単に想像できたが、オレに電話をかけてくるような状況というのは想像がつかなかった。 「こんな時間に申し訳ないけど、今からウチに来てもらえるかい?」 優斗がそこにいるなら、断るわけがない。オレはすぐに返事をした。 「分かった、迎えに行く」 「優斗を1人にできないから……悪いけど自力で来てくれ。タクシーを使うならお金は到着した時に俺が払うから、なるべく早く来てくれないか」 状況は全く分からないが、蒼生の声から、何か問題が起きた事だけは分かった。

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