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4話

「もうじき風呂が沸くので、入ってください。カゼひいたら大変でしょう」 「誰も心配しないし、そんなにやわじゃないですからね」  嵐の濡れたTシャツや濡れた髪をかき上げる仕草に、欲情した。久しぶり湧き上がる劣情の処理に困りながらも枯れていなかったのだとわかり、安堵する。 「俺が心配なんです。叱られたいんですか?」  確かに、ズルズルと婚姻生活を続けていることや想いを伝えられない臆病で卑怯者を叱ってほしかった。逡巡した後、小さく頷いた。  嵐は神妙な顔をし、「いい加減、目ぇ覚めたら? 不幸な自分に酔っているの、正直迷惑だし、誰かに同情されたくて演じてるのかと思うとすんげーイライラする。自分から動けよ」  嵐の肩が大きく上下に動いている。皐月はうわ言のように「ごめんなさい、ごめんなさい…」と繰り返し、頬に伝う涙を手の甲で拭った。 「常連客でしかない私を叱ってくれてありがとうございます」  泣き顔を見られたくなくて、深々と頭を下げると、鼻をすすりながら子どものように泣いた。 「何言ってるんですか? 前に一度助けてくれたじゃないですか?」 「……助けた? 君を?」  顔を伏せ、視線だけ嵐を見つめた。 「だからさ、そう俺を煽んないでくれる? 正直、理性保つのしんどいんだよ」  嵐が吐き捨てるように言い、視線を背ける。 「は?」  こんなオッサンに、まさか欲情しているのか? いいや、聞き間違えだと心の中で否定していると、肌に張り付いている濡れたシャツ越しに腕を握られ、バスタオルの上へ押し倒された。 「冷えていますね。温めてあげます」  覆いかぶさっている男の表情が読めない。抵抗したくても、頭上でひとまとめにされ、左手で押さえつけられている。徐々に下がってくる頭と、何とも言えない雰囲気に呑み込まれ、抗う気がそがれる。 「ちょっ、なに、を。やめっ……っあっ」  存在を主張している乳首をシャツ越しに右手でつままれ、もう片方を吸われる。熱いのともどかしさとくすぐったさに身をよじる。 「へぇ~、感度いいんだ」  きつく吸われた後、舌先で優しくされ、もう片方を指先でくすぐられる。もぞもぞと腰を動かしてしまう。くすりと笑う振動と、のどの動きでさえぞくぞくとした震えが起き、身体が熱くなる。 「あっ、ぁんっ……ンッ。あああっ」  こんな嵐、知らない。男性の――オッサンの胸を赤子のようにしゃぶり、膝で裏筋をなぞる彼を。 「やっべ」 「気を悪くしてしまいましたか?」  だが、視線が合った彼のまなざしがそうではないと語っていた。鋭い相貌に隠し切れないほどの劣情がにじんでいる。 「ひゃっ、ぅあっん。イく、出る……やめて」  衣服の上から昂った皐月自身の裏筋を下から上になぞられる。  今にも弾けそうな自身を意地悪く弄ばれ、腰がけいれんする。 「出したい?」  何度も何度も頷く。チャックを下ろし、張り付いたズボンと下着を脱がせた。先端からあふれた先走り汁を全体に塗り拡げる。 「皐月さんも感じてくれて嬉しい。後ろしながら、前擦ってあげる。初めて?」 「当たり前です」  強引に立ち上がらせ、手首をつかまれ、ベッドに放られた。痛いじゃないかなどと言う余裕はなく、ヘッドボードから取り出した潤滑剤を手で温めた後、不意に皐月自身を口に含まれ、体温が急上昇した。 「あっつっ……」  きつく締められた唇で茎を食まれ、舌先で先端をほじくられる。異物感しか感じなかった指がある場所に当たった瞬間、身体が跳ねる。  慣れてるな、と視線で訴えかける。が、余計なことを考えているのが気に入らなかったらしい。 「やめっ、離してっ。……あああっ」  頬をへこませて吸引され、こらえきれず口に欲望を吐き出してしまった。恥ずかしくて死にそうだ。涙目と真っ赤になった顔を隠すように、腕で顔を覆い隠す。 「すっげー色っぽい。ねえ、ここに入れていい?」  左手で、顔を隠している手を頭上に縫い留め、指を折り曲げて存在を主張する。嵐が苦しそうで、それでいて泣きそうな笑みを浮かべているのを見て、 「いれていいです」  言い終わるか否か、嵐が入ってくる。息もできないほどの圧迫感と熱さに、涙を流しながら声にならない悲鳴を上げる。シーツをつかむ指先が震えている。嵐は、皐月を抱き、落ち着くまで背中をさすってくれた。 「動いて、いい。つらいでしょう」 「皐月さんは?」  肌に堕ちる汗が熱くて、身体をびくりと揺らす。異物感としびれるような快楽が背筋を走る。 「意外に大変なんだよ。だから、」  ゆっくりします、と言いながらも、次第に早くなっていく律動に溺れていく。 「あああっ、ッはぁ、ああっ」  嵐のベッドで嵐に抱かれて、満たされていく。 「皐月さん、もっと感じてください」 「あ゛ッ、いいっ、ああっもうっ、イく、クッ」 「イってください。……ッくっ」  嵐の背をかき抱き、内部を締め付けた絶頂に達した瞬間、彼のモノが脈打ち放出する。幸福感でいっぱいになりながら、目を閉じた。

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