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第20話
暗くなり始めた道を、二人して泣きながら家まで帰って。俺たちは確かめ合うように、どちらともなく抱きしめあった。
そっとキスをしてみる。夏樹さんでもある柊は、怖いことを思い出すのか、少し戸惑った様子だったけど、俺の顔を見て、それからぎゅっと目を閉じて、続きを求める。だから俺も、それに応えるように、啄ばむようなキスを繰り返す。
柊をベッドに横にさせて、それから、しばらく互いの体温を確かめ合った。触れ合える。そこに境界などはなくて、俺たちは自然と一つになろうとした。
唇を割って舌を絡め合い、服も脱ぎ捨てて、裸の体で触れ合う。温かいを通り過ぎて、熱い。はぁ、とどちらともなく熱のこもった息を吐き出して、それでもキスを続けながら、絡み合う。
俺たちは困ったことに、どちらも男性相手どころか女性相手にも経験が無い。する事はわかっていても、やり方がわからない。だから、お互いが確実に満たされる方法を選ぶしかなかった。
これ以上ない程密着し、何度もキスを繰り返しながら、お互いのそこを撫で合う。柊はそれがあまりに久しぶりの感覚なのか、触れただけで「あっ」と声を上げて腰を引いたから、それを追いかけるようにして、握り込む。
「きよはる」と名を呼ばれて、柊の名前を呼び返しながら、それをゆっくりと擦ると、柊は悲鳴のような声を上げて俺に縋り付いてきた。
「きよはる、きよはる……」
すき、すき、と子供のように呟きながら、柊は俺に全てを預けている。それが愛おしくて、俺も興奮してきた。「俺のも触って」と耳元で囁くと、柊は震えて、おずおずと俺のものを握った。
俺のするように、柊も熱をそろそろとしごいてくれる。それが拙いのに気持ちいい。もっと気持ちよくなりたい、柊と一緒に。
「柊」
「あっ、きよはる、きよはる……っ」
二人のそれを一緒に扱くと、柊は手を止めて俺に抱きついてくる。「もう」とか「だめ」とか言いながら首を振るのが、なんとも愛しい。可愛くて仕方ない。
「一緒に、イこ」
囁いて、擦る手を早めると、ぁ、あ、と柊が声を漏らして、そして俺たちは一緒に昇り詰めた。
ベッドで一緒に横になると、ずいぶん狭い。それでも離れがたくて、俺たちはずっと引っ付いていた。
「寂しい思いをさせましたね、きよはる」
ぎゅっと抱きついたまま、柊が呟く。いいんだよ、と返して、彼を撫でる。
「……これからは、また一緒に……いたいです」
「そういうわけにも行かないだろ、柊には家族もいるんだし……」
「……なら、いずれ。必ず……」
貴方の元に戻ります。
柊の言葉に微笑んで、俺は彼にキスをした。
こうして俺たちは、また一緒になった。もう、透明な境界なんて、存在しないんだ。好きなだけ触れあえたし、好きなだけ、愛しあえた。
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