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王を愛する男たち_04
「……少しだけ、俺様の話を聞いてくれないか」
目の前の渋谷を見て、今度は千昭を見つめる。二人は顔を見合わせて、静かに頷いてくれた。ああ、よかった。話をするよりセックスさせろなどと言ったら、二人を蹴倒すところだった。
「俺様にとって、千昭と渋谷は特別な男だ。だから、俺様に触れることを許可してやるが――なすがままは王らしくないし、その、なんだ、こういうのは、よくないと思う、んだが。セックスとは、合意の上で、愛し合っている者同士がすることだろう……だが、お前らは賭けと称して俺様を弄り倒してくる。本当に俺様を好きで触れているのか、よくわからない」
なんと王らしくない演説だろう。情けなくて顔から火がでそうだ。
二人を見つめることができず、もじもじと性器を隠すために太腿を擦り合わせていると、渋谷からは額に、千昭からはうなじにキスをされる。さっきまでの激しさは嘘のように、優しいキスだ。
「あー……なーに可愛いこと言ってくれてんだよ、ガン勃ちしちまったじゃねーか。俺、さっきも言ったよな? 白金のこと好きだって。セックスしてーから好きって言ったわけじゃねーぞ、好きだからセックスしてーんだよ、わかれよ」
渋谷はどこまでも正直で、品がない。だけど、だからこそ、ストレートに響いた。頭の中はバスケとセックスでいっぱい。そう言っていたけれど、俺はどれくらい占めているのだろうか。
「……一番はバスケ、二番はセックス、俺様は渋谷にとって何番なんだ。三番か? そんなの許さないぞ」
ぐいっと渋谷のネクタイを引っ張り、じっと睨む。渋谷はにやりと口角を上げ、ちゅっと俺の唇を啄ばんだ。
「バーカ、白金は一番だよ。お前には一番しか似合わねーからな」
よくわかっているじゃないかと微笑むと、するりと腰に腕が回り千昭に抱き寄せられる。「王様、渋谷くんとばっかりおしゃべりするのずるいよ」ちゅっちゅっと耳殻にキスをしてくる千昭が可愛くて、緩く口角を上げた。
「俺も毎日言っているけど、ミチルだけが好きだよ。俺の心は、体はミチルだけのもの――俺は卑怯だからゲームと称してミチルに触れてしまったけど、そのせいでミチルを不安にさせていたのだとしたら、王の盾失格だね。許されるなら、ゲームなんて関係なく、ミチルに触れたい。ミチルを愛したいし、愛してもらいたい」
さっきまで俺の尻で好き勝手に性器を扱いていた男とは思えないほど、あまりにしおらしく愛おしい。きゅんと胸が高鳴った。
「ゲームを途中で放り投げたりはしないが、ゲームと称して俺様を触ることは禁じる。だが、俺様を愛して、愛されたいのなら、俺様にいくらでも触ることを許可してやろう――二人まとめて愛してやる」
どちらか一方の手をとることができないほどに、俺には二人が必要だ。王の寵愛を二人だけに注ぐから愚かな選択をした俺を許してくれ。
首だけ振り返り千昭の唇にキスをしてから、今度は渋谷にもキスをする。二人への寵愛の証として。
「マッジで、まとめて愛してくれるんだよな? 同率一位だよな? そうじゃなきゃ俺認めねーぞ」
「俺だって同率一位じゃなきゃ無理だよ。俺たち二人だけが王様の恋人で、俺たちに愛されて、愛してくれるなら、俺はほかにはなにもいらないよ」
「同率一位だ――千昭と渋谷だけを愛してやる。だから、お前たちも俺様だけを愛せよ」
ようやく腹が決まった。流されるままのセックスではなくて、これは俺による愛情表現だ。
ジーッと渋谷のスラックスのファスナーを下ろすと、ボクサーパンツを窮屈に押し上げている。下着の上からでも渋谷のモノが大きいことがわかり、ごくりと喉を鳴らしてしまう。千昭も、渋谷も、俺のモノと比べ物にならない。ほんの少しの恐怖はあるが、一度決めたことはきっちり守る。それが良き王だ。
渋谷の下着に親指をかけ、くいっと引き下ろした。想像以上に大きく、ビクビクと脈打つ渋谷の性器に恐る恐る手を伸ばす。なんて熱さだろう。俺のことがほしくてたまらないとビクビク震える渋谷の性器にもう恐れはなかった。ただ愛おしい。
「おい、白金なにして……っ」
「二人まとめて愛すと言っただろう、渋谷のココ、俺様が抜いてやる――千昭、お前のことも気持ちよくしてやる、だから、少し待って、くれ……っんむ……ッ」
右手で渋谷の亀頭を撫でさすりながら、左手を口に入れて舐め回す。これくらい濡れていれば大丈夫だろう。ゆっくり口内から指先を引き抜いて、唾液まみれになった指先を尻へと持っていく。
ばくばくばく、心臓が馬鹿みたいにうるさい。まだ、誰にも触れられていない秘部にそうっと触れる。侵入を拒むように押し返されるけれど、ぐにぐにと何度も押す。やわらかく解れるまで、執拗に撫でて、押すと、つぷとようやく中指を受け入れることができた。
「っひ、ぁ……ッ! っ渋谷、なに、……っぁ、ちあき、まで……っおとなし、く、待てないの、かぁ……ッ!」
夢中になって渋谷の亀頭を擦り、秘部を押し拡げるために中指を抽挿していると、ぎゅっと渋谷の大きな手に性器を握り込まれて、ガクガク腰が震える。にやりと口角を上げた渋谷は俺と渋谷のモノをピトリと擦り合わせると、まとめて握り込む。
あ、きもちいいと仰け反った瞬間、今度は尻の谷間に冷たい液体が垂らされる。千昭が、ローションを垂らしているのだとすぐにわかった。谷間から秘部へとゆっくり垂れる感覚に若干のもどかしささえ覚えてしまう。きっと千昭にはバレバレだ。
むにっと谷間を寄せ上げられながら、こぷ、と品のない音を立てて直接秘部へと垂らされていく。俺の指が入っているのに、細くて長い千昭の中指が押し入ってくる。俺の指はすんなりと入らなかったのに、千昭の指はあっさりと受け入れる。なんてはしたないのだろうと、恥ずかしさと快感で視界が眩む。
「っ待てねー、つーか、白金と一緒に気持ちよくなりてーから、な!」
「ッんンん……っし、ぶやぁ……ッ」
ぐぢゅぐぢゅ。よだれがだらだらと止まらない互いの鈴口を擦り合わせながら、渋谷の大きな手が性器を揉み込んでくる。まるで性器同士がキスをしている光景は、視覚的にも卑猥だ。
「自分で後ろ解すミチルは最高にセクシーでそそるけど、待っているだけなんて無理だよ、俺もミチルを気持ちよくしてあげたい」
「は、ぅっ、んンぁーーっ、……ひ、ぁあッ!」
ぢゅぽぢゅぽッ。千昭の指が入り口を拡げながら、どこまでも品のない音を立てる。粘膜をぐりぐりと探っていた千昭の指がある一点を掠めた瞬間、今まで感じたことのない快感が一気に押し寄せて大きく仰け反った。
あ、なんだ、こんな快感知らない。怖い。気持ちがよすぎて俺じゃなくなってしまう、きもち、いい……!
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