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青い鳥は王とイチャつきたい_02

「白金!」  職員室から出てきた白金が目に入り、ぶんぶんと大きく腕を振って走りだした。  俺をしっかり捉えた青い瞳はいっしゅん緩むけれど、すぐにキリッと引き締める姿に愛しさが爆発した。  えっっ可愛いなお前。なんなの。俺の姿が見えて、自然と笑いかけたけど、学校だから頑張って引き締めた系? 可愛すぎじゃね? なんなの? 天使か? 天使だな、うん。白金は天使だわ。抱きしめてキスするしかねーわ。決定事項。  公共の場では王様らしく振舞うのは、白金ルール。俺たちにはそういったことを強いられていない。つまり、愛しさのあまり白金を抱き上げてさらっても誰にも文句は言われない。 「渋谷、廊下を走ると危な――な、んでお前はすぐに俺様を姫抱きするんだ?!」  白金の太腿に腕を回し、ひょいっと抱き上げる。  いつも思うけど軽すぎる。中に綿しか入ってないんじゃねえのかってほどに。白金の中はすみずみまで調べ尽くしたからそんなことないと知っているけど。  あ、やばい。思い出したら勃ちそう。だって、今は俺だけが白金を独占している。俺だけが白金を可愛がっていいんだ。 「白金が可愛すぎて愛が爆発した結果がお姫様抱っこになっちまうんだよなー、白金が可愛すぎるからいけねーんじゃね?」 「確かに俺様は常日頃から美しすぎるが」 「美しいと可愛いは違うっての! お前、顔は圧倒的美形だけどやることなすこと可愛すぎるんだよマジでつれーわ……下半身がマジでつれーんですけど、白金さんどうにかしてません? 白金さんしか解決できねーんですけど」  わざとらしい敬語を使い、チラリと白金を見つめる。はあと口から漏れた吐息は馬鹿みたいに熱っぽい。  お姫様抱っこすると、自然と上目遣いになる。青い瞳がそわそわと惑い、白い頬が赤くなるけれど、必死に眉根を寄せてキリッとした表情を作ろうとしている。  あー、可愛い。すっげー可愛い。可愛すぎて頭が馬鹿になる。もともと馬鹿なのに。もっと馬鹿になる。可愛すぎてセックスしたくなるってすごくね? 今までただ自分の欲望を発散したくて抱いていたのに、可愛すぎて抱きたくなるなんて昔の俺じゃ考えられない。 「……一度ああいうことをシてから、お前たちは俺様になにもしてこなかっただろう。だから、俺様ではお前たちを満足させられないのかと思っていたんだが」  ぼそぼそ、王様とは思えないほど小さな声で白金が呟いた言葉に目を丸める。  は? なに勘違いしちゃってんの? 勘違いが斜め上すぎて可愛いんですけど。白金とのセックスに不満なんて一ミリもないつーか、あの日の白金の表情思い出すだけでギンギンになるんですけど。  廊下に誰もいないことを確認して、白金の薄くてやわらかい唇を塞ぐ。青い瞳が大きく見開き、俺の胸を何度も叩いてくるけれど、止められそうになかった。久しぶりの白金の唇、じっくりねっとり堪能したい。 「バーカ、白金マジで頭いいくせにバカだわ。我慢してんだよ、お前のために! 週七どころか週八で白金抱きてえくらい白金不足なんだよ! 満足させられねー? 確かに何度白金抱いたとしても、また抱きたくなるって意味で一生満足できてねーけど、お前の可愛さには大満足だよ!」  今度は白金が青い瞳を丸める番だ。俺の言葉にぽかんと目を丸めてから、はくはくと口を閉じたり開いたり。  可愛いなおい。チアキとしばらく我慢って約束したけど、俺大分我慢した。ラインで抜けがけしちゃったごめんてへぺろって送ろう。そもそも俺たちがあまりに手を出さないから不安になっていた白金を抱かないほうが罪だわ。白金を抱く、ぜってー抱く。いますぐ抱く! 「……一週間は七日しかないから週八は無理だぞ」  ようやくピンクの唇からこぼれた言葉は白金節。週八は無理ってことはさすがの俺でも知ってる! 「週七じゃたりねーくらい、白金と愛し合いてーって話だよ。なあ、いますぐ抱きてえから保健室行こ」  赤く染まったまま頬にちゅっとキスをして、耳元で囁く。「嫌だ」ばっさり断られる。つらい。想像以上につらい。今まで断ることはあっても、断られたことがないし、そもそも好きな人とセックスをしたことがなかった。俺は白金に求められたらいつでもウェルカムなのに。  あからさまに肩を落としてしまったせいか、白金は慌てた様子で俺の両頬を掴む。恥じらいがちでありながら、俺の目をしっかり見てくる白金が可愛くてじっと見つめ返した。 「ちがう、シたくないわけじゃない。保健室が嫌だと言っているんだ。だから、そんな顔するな。三階の旧指導室なら二人きりになれる」  俺がしょんぼりしていたはずなのに、いつのまにか白金がしょんぼりと眉を下げていた。  俺、お前のしょんぼり顔に弱いんだってば。そんな顔するなよと顔を寄せて唇を重ねると、白金は安心したのか青い瞳を細めた。あー、マジで可愛い。白金の笑顔は地球を救う。 「旧指導室って今使われてねーとこだよな」 「ああ、来年から俺様の部屋になる。あの部屋の鍵も俺様が持っているぞ――だから、俺様を旧指導室まで運んでくれ。王の命令だ」  さっきまでの余裕のなさはどこへやら。すっかり王の顔を取り戻した白金は俺の耳元で囁いた。  王の命令? 王の褒美の間違いだろ。だらしなくゆるむ口元を隠すことなくさらし「俺の王様の仰せのままに」ちゅっと手の甲へ口づけを落とした。

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