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 後に引き取られた見ず知らずの親戚の家で、自分の存在がいかに目障りなものか実感しない日はなかったのだ。  母親の職業柄、引き取るのをどの親戚も渋っていたのは春夜も分かっていた。  それでも引き取ってくれたのは、母親の従姉妹である櫻田夫妻だ。  最初は情で天涯孤独の春夜を引き取ったのかとも考えたが、実際の扱いは素っ気ないものだった。  目も合わせなければ、必要最低限の会話のみ。それでも普通の生活が送れているだけ、幸せなことなのかもしれない。誰もいないアパートの一室で、死ぬより先に母が帰ってくることを待っていたあの寂しさに比べたらマシだった。 「お前、学校で媚びを売ってんだろ」  櫻田夫妻の一人息子の裕介はそう言って春夜に迫ったのは、春夜が中学二年の時だ。  出会った当初、表面上は友好的に接してきた裕介だが、裏では完全に春夜を無視していた。そんな裕介が突然言い出したことに、春夜は驚いた。  線が細い体つきと、中性的な容姿から卑しい視線を浴びることが多いのは確かだ。  母親や従業員が、客に接するような物腰。自然と身についた艷やかな視線や作り笑いに、一部の男性教師からセクハラを受けることもあった。わざとではない。物心ついたときからあの場所に通っていたこともあって、自然とそういう接し方になってしまう。

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