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 自覚はあったが、春夜はそれを変えようとは思わなかった。  母と同じ血が流れているという一つの証。それに加えて初めて、自分の価値を知ったような気がしたのだ。  だからこそ何の利益も得られない行為は、春夜にとっては何の価値もない。唯一の価値となりそうな部分を、安く受け渡したくはなかった。  同じ学校とはいえ、どうして知ったのか。  一つ上の裕介から指摘されたときは、愕然として否定することすら忘れていた。 「教師や上級生からセクハラされてるんだってな。嬉しいか?」  唇の端を吊り上げて問う裕介に、春夜は首を横に振る。 「そうだよな。喜んでんだったら、とんだ淫乱だもんな。だったら、俺が守ってやるよ。その代わり――」  そう言って裕介は春夜の手を取って、自分の股間に誘った。 「分かってんだろう。お前の母親と同じことを俺にすればいい。教師からも生徒からも、俺が守ってやる」 「――本当に?」  思わず媚びるような視線を裕介に向ける。  教師のセクハラは日に日に度を増していた。加えて最近は、上級生からも虐めに(かこ)つけた卑猥な仕打ちもある。無意味なことに身を費やすなら、きちんと対価の得られる裕介の方が都合がいい。

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