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 春夜は浴衣とタオルを松原に手渡し「湯はあちらにあります」と言って障子を指差す。  松原は緊張しているのか、無言で頷き湯へと向かった。  障子が閉まるのを確認すると、春夜は小さく息を吐き出した。準備しなければと帯に手をかける。その手が微かに震えていて、自分も緊張しているのだと分かった。  白の長襦袢姿になると、春夜は布団の上で膝立ちになる。指先に円滑剤をつけると、後孔に触れていく。いつも以上に冷たい指先に、全身に鳥肌が立った。 「っ……ぅ――」  この行為は慣れていると言っても、違和感は拭えない。  なんとか潤わせると手をテッシュで拭い、襦袢の前を閉じた。正座して松原が来るのをじっと待つ。  障子の向こう側は仄明るく、ぼんやりとした明かりを畳に投げていた。男の影が大きく映し出され、障子が開かれる。  浴衣姿の松原が、緊張した面持ちで近づきハルヤの目の前に腰を下ろす。  距離が近づき、石鹸の香りが強まった。春夜の頬に、松原の指が触れる。お風呂上がりの少し湿った指先は、酷く熱を帯びていた。 「もう……傷は大丈夫なのか?」  労るように頬を撫でられ、親指が唇の端に触れていく。 「……はい」 「キスしてもいいか?」  松原の問いに答えるように、ハルヤは松葉の首筋に腕を回す。

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