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「……好きだ」  囁かれた言葉ごと押し込むように、唇が押し付けられる。掌と同じぐらい熱を持った唇が、春夜の冷えていた唇には熱いぐらいだった。  ゆっくりと唇を開くと、僅かに顎を持ち上げられ、濡れた舌先が割り込んでくる。 「んっ……ふっ……」  最初こそは優しく探るような動きが、次第に口腔をかき乱すような激しさを伴っていく。  布団に優しく背を倒され、喉元や首筋に松原の唇が押し付けられる。松原の手が襦袢の襟元から差し込まれ、上半身が外気に晒される。鎖骨に唇が触れた。 「……痕は残さないでください」  春夜がポツリつ呟くと、松原が顔をあげた。 「……わかった」  少し強張った口調で了承すると、松原は再び春夜の胸に顔を埋めた。  痕を付けられてしまうと、次に客を取る時に支障が出てしまう。こんな時まで、そんな風に考えてしまうのはとんだ商業病だ。そんな自分に嫌気が差した。  松原の丁寧な愛撫が続き、舌先が胸の突起を撫でる。敏感な箇所を責められ、微かに春夜の呼気が乱れ始める。松原の手が春夜の下腹部に降りていき、春夜は咄嗟に松原の腕を掴んだ。 「どうしたんだ?」  訝しげな松原に、春夜は居たたまれなくなった。松原がもしかしたら目を覚ましてしまうのではないかと、一瞬恐れた。

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