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 松原は一瞬険しい顔をしたが、すぐに気を取り直したように指を後孔に這わせていく。  中に指を差し込まれていくのを感じ、春夜は入れやすいように力を抜いていく。  探るように出し入れを繰り返され、ぐちゅりと濡れた音がした。  興奮に少しだけ体が震えた。 「大丈夫か?」  不安げな口調に閉じていた瞼を持ち上げ、松原に視線を向ける。ぼんやりとした朱色の光が、不安げな表情の松原の頬を染めていた。 「大丈夫です」  春夜が言うと、松原の表情が緩んだ。気遣われているのだと、つい胸が熱くなってしまう。  客のほとんどは、春夜の体を労ったりなどしてはこない。それに比べて松原は、きちんと春夜の顔色を伺っている。反応を確かめつつ中を探られていき、時には体が跳ね上がりそうにもなった。  丹念な愛撫を感じ続けていたい気持ちもあったが、残り時間が少ないことを松原の背後にある時計が示していた。 「……松原さん」  春夜は松原の腕に手を置き、快楽で歪んだ視界で見つめた。松原の瞳に熱が帯び、春夜に覆いかぶさるなり噛み付くようなキスをする。  足を抱え込まれ、解れたそこにさっきよりも強い圧迫感が押し寄せた。 「っ……んっ……」  眦に涙が滲んだ。押し広げられていく感覚に、苦しさよりも充足感に満たされていく。 「辛いか?」 「いいえ。そんなに気にしなくて大丈夫ですよ」  不安そうな松原の表情に少し可笑しくなって、春夜は口元を緩ませる。

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