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「二、三日したら水槽に移しても問題ない。ただ、バケツの水は入れない方がいい。お店の水は、必ずしも菌がいないわけじゃないからな。金魚だけを水槽に移すんだ」  そう言いつつ、松原は紙袋から餌を取り出す。 「少しなら餌をあげてもいい」  手を出してと言うと、ハルヤが両手を差し出した。その上に少しだけ人工餌の粒を乗せる。 「餌をやるときが一番楽しい」 「わかります」  ハルヤは目を輝かせ、頷いた。さっきの険悪な空気が僅かに和らぐ。  ハルヤが腰を下ろすと、そっと水面に餌を落としていく。  水面を漂っていた金魚たちが、沈みゆく餌に気づき口をパクパクと動かしながら水面を駆け巡る。  優雅な朱色の尾ひれが、縦横無尽に動き回る姿は美しかった。 「綺麗だな」 「そうですね」 「いつまでも見ていられる。可愛らしくもあるし、優雅だ」  ついついハルヤと一緒に、夢中になって目で追っていた。ふとした拍子にちらりと隣を見ると、ハルヤも頬に笑みが浮かべていた。  彼とだったらこうして、穏やかな気持ちで愛でることができるかもしれない。そう思うと、このまま引き下がるのは惜しい気持ちがこみ上げてしまう。 「……また、来てもいいか?」 「えっ?」  驚いた表情でハルヤが、松原の方を向く。

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