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「おまえは一生俺の言うことを聞いてれば良いんだ。悪いようにはならないことぐらい、おまえが一番よく分かっているんじゃないのか?」  さらりと頬を撫でられ、嫌悪感から背筋に悪寒が走る。顔を逸らし視線をうつむけると、顎を掴まれ正面を向かされる。 「衣食住なら与えてやる。その代わり俺の言うことを聞けば良い」  祐介の欲望の滲む瞳に、自分が映り込んでいた。  顎を掴んでいた手を振り払う。 「祐介なんかに頼る気はない」  睨みつけると、祐介が手を振り上げる。瞬時に奥歯を噛み締め、目をきつく瞑った。  鋭い衝撃と共に畳に乱暴に倒され、祐介が馬乗りになった。ずっしりとした重みが腹部にかかる。薄ら目を開くと、忌々しげな表情で春夜を見下ろしていた。

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