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「持って帰るには色々必要な物があるから、後日また取りに来る。君はいつまでここにいるんだ?」 「近々……出ようかと……」 「そうか。会えるか分からないな……体には気をつけて」  それ以上の言葉は出てこず、松原は部屋から出ようと襖にもたれ掛かったキミヨに近づいた。 「ハルヤ。あんた、いい加減にしな」  今まで静観していたキミヨが、口を開くなり強い口調で言った。 「ここまであたしがお膳立てしたっていうのに、あんたって子は」  驚いて足を止めた松原に、「この子はねぇ。あんたのことを本気で好きなんだ」と言って眉を顰めた。突然の事に呆気に取られている松原を尻目に、キミヨはハルヤの前に腰を下ろす。 「あんたも母親と一緒だよ。一番大切に思ってくれる人が傍にいるのも気づきもしないで、黙っていなくなろうとする。あんたの母親は、あんたっていう一番に愛を与えてくれる存在を自ら手放したんだよ。あんたもそうなりたいのかい?」  ハルヤの表情が苦痛に歪んだ。

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