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金魚鉢をベタの視界に入らないように、少し離れた場所に置く。予め用意していた水のボトルを金魚鉢に移し、水槽に袋ごと金魚を浮かべた。
「松原さんがいなくなったからか、隠れちゃいました」
そう言ってハルヤが残念そうに言って、松原に近づいた。肩を落とすハルヤのあどけない姿と、ベタが自分に懐いているという優越感。自然と口元が緩んでいた。
松原は引き出しから手鏡を取り出すと、ベタの水槽の前に立つ。
「ベタは闘魚なんだ」
「闘魚?」
「ああ」
手鏡を開くと、水草を突いていたベタが尾ひれを翻し近づいた。
「だから一つの水槽に一匹が基本なんだ。水槽に蓋をしておくのも、ベタがジャンプして外にでないようにするためだ」
水槽の上はガラスの板で塞いであり、餌をやる時以外は外さないようにしていた。
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