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21 美術館デート
昼食を済ませ、また俺らは車に乗り込んだ。
今度は何処に行くのかな? そう思って純平君の方を見ると、ちらっと目が合い照れ臭そうに笑った。男ニ人でこうやってドライブなんて、純平君は楽しいのだろうか? 少なくとも俺は新鮮で楽しいと感じているけど、彼も同じふうに思ってくれていたなら俺も嬉しい。
「次は何処に行くの?」
そう聞くと、美術館に行きたいと言う純平君。意外な返事にそういえば……と、山の上の方に美術館があったのを思い出した。
意外な一面。純平君の雰囲気からこういう類のは興味がなさそうだけど、行きたいというなら付き合おうと快諾した。しばらくの間山道に揺られ、途中で何度か停まり景色を楽しみながら山頂の美術館に到着した。
「俺が誘ったからここは……」
そう言って純平君が入場料を払ってくれ、ニ人で入館する。実は俺はあまりこういった芸術品には興味がなく、見ていても何も感じない。せっかく来たのに純平君の話に合わせてあげられないかもしれないと思ったら申し訳なく思った。
「こういうのが好きなんだね。俺、あんまり詳しくなくて…… 」
初めに言っておいたほうがいいと思いそう言ったら、驚いた顔をして純平君は振り返った。
「え……マジっすか? 悠さん絶対にこういうの好きかと思ったから。すみません」
「あ、いいんだよ。こういうところあんま来ないから新鮮で楽しいよ。ありがとう」
どうやら純平君も芸術には疎いようで、ニ人してササッと眺めて美術館を後にした。
「なんだかなぁ……美術館って大人のデートみたいでいいと思ったんだけどなあ」
純平君は一人ブツブツ言ってる。展望台のある公園で仲良く並んでベンチに座りジュースを飲んだ。
「ごめんね。俺、そんなに思ってるほど大人じゃないから。でも楽しいよ。ほんとデートみたいだよね。たまにはいいね、こういうの」
そう言って純平君の顔を覗き込んだ。パッと目が合い、何か変な間があきじっと見つめられた。
「……ん?」
何かを言いたげな表情の純平君が俺を見ている。
「どうしたの?」
スッと急に顔をそらし、小さな声で呟いた。
「……あの時、何で悠さん、泣いて……たんですか?」
純平君の小さな声は、俺の耳までハッキリと届かなかった。
「ん? なに? よく聞こえなかった」
「あ……いや、なんでもないです。そろそろ、行きましょうか」
そう言って純平君が立ち上がるので、俺もあまり気にすることなくそのまま車に乗り込んだ。
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