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79 ぬくもり
結局、俺と敦は一緒にベッドに入った。
かつて陸也がそうしてくれたように、敦は俺を背後から抱きしめる。
久しぶりの人のぬくもり……
人肌恋しい、愛されたい……そう思い実際こうやって優しく抱きしめてもらっても、俺は穏やかな気持ちにはなれなかった。
俺は陸也しか知らないから……
「……ごめん悠さん。嫌だったら離れるから」
すぐ背後から敦が囁く。
ほんの少しかかる吐息にさえ意識がいってしまい、どうしようもなく胸が騒ついた。
「ううん……大丈夫」
ドキドキが伝わってしまいそうで、俺は小さくそう言って身を縮める。
俺の胸元に優しくまわされている敦の腕が、微かに震えた。
「悠さん……俺、我慢できる自信、ない。どうしよう……」
首の後ろに敦の声がかかる。
一緒にベッドに入った時点でこうなる事は想像できた。敦が俺に好意を持ってくれてるのも知っている。
俺もきっと敦の事が好き。
いや、でもはっきりそう言い切れない。
……わからないんだ。
寂しくて、誰かに甘えたい。
もしかして俺も敦の事が好き……でもまた誰かを好きになって辛い思いをするのが怖い。
いろんな感情が渦巻いて、だから敦の気持ちに応えることができないでいたのに。でもやっぱり寂しい気持ちが大きくて、誰かに触れてもらいたいって思ってしまった。
……淺ましい。
「いいよ、敦の好きにしても……」
俺を抱きしめている敦の手にそっと触れ、深呼吸してからそう言って俺は覚悟を決めた。
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