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90 好き……
「悠さん? 俺さ、お祝いの続きしてよって言ったけど……嘘だからね。単なる口実。そんなの悠さんの部屋で二人になる口実にすぎないから」
敦は悪戯っぽく俺を見て笑った。
「また悠さんに飲ませて酔っ払って寝られちゃたまらないからね」
楽しそうに笑い俺の肩に手をまわす。そんな態度も嫌じゃなかったから俺は自然と敦にもたれた。
「さっきの返事。別に急がないけどさ、もう答え出てるでしょ?」
敦に見つめられ、恥ずかしくて思わず目を逸らしてしまう。すかさず敦はそんな俺の頬に手を添え優しく自分に向かせた。
「いいからさ、俺にしとけよ。俺が愛してやるって……てか、悠さんの事、もっともっと愛させてくれよ。俺、好きだから……ずっと死ぬまで一緒にいてやる。だから安心して俺の側にいて欲しい」
俺が俯いたから敦の額が俺の額にこつんとあたる。
そんな至近距離で俺のことを見つめながら敦は更に続けた。
「もう嘘だってつかなくてもいい……誤魔化さなくていい。そのままの悠さんでいいんだ。もう自分を偽るなよ」
そう言いながら、俺のことを優しく抱きしめてくれる。
「大丈夫、俺がちゃんと悠さんのこと愛してるから。だから安心して全部出しちゃいな。隠さなくたっていいよ。好きなら好きだって言っていいんだ」
抱きしめられたから、敦の表情は俺からは見えない。
……でも、心臓の鼓動が胸に伝わる。
俺の鼓動?
それとも敦の?
「それって……俺が敦の事好きだって言いたいの?」
「違う? 悠さん俺の事、凄え好きだろ?」
「………… 」
敦の言う通りだ。
でも口に出してしまっていいのかな。
俺は誰かと付き合うなんてした事がない。
ずっと一人を思い続けて拗らせて、人を好きになるのに自信がなくなってしまった。
それに思われ続ける自信もない。
純平君だって傷つけてしまった。
また一人になるかもしれないと思ってしまって怖いんだ。
「怖がるなよ。言えよ……俺を信じてよ」
敦が俺を見つめている。
言ってる事は自信に満ちてるくせに、俺を見つめる敦は泣きそうな顔をしていた。
「……好き」
そんな風に見つめられ、心を見透かされていると感じた俺は、堪らなくなって自然と口から言葉が溢れた。
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