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100 幸せ
お互いベッドの上で裸になり、抱き合っている。
敦の体温、胸の鼓動を全身で感じる。さっきまでの抑えのきかなくなっていた敦はもういない。
俺を抱きしめる敦の腕はとても優しかった。
ドキドキし過ぎて息が苦しい……
俺が気持ちよくしてやるから、なんて言っておきながらすっかり敦のペースだった。
両腕を捕まえられ、優しくベッドに押し付けられる。少しだけ体を捩ってみるものの、もう捕まえられた体は敦から逃れられなくなっていた。
俺の両腕を捕まえ見下ろす瞳が「俺だけを見ろ」と言っている。敦の俺を見つめる瞳が優しすぎてそれだけで泣きたくなった。
ダメだな。敦の前だと涙腺が弱すぎる。
そんな俺の心境を知ってか、敦はゆっくりと触れるようなキスを落とし「愛してる……」と呟いた。
頑なに一人を思い続けて拗らせて……
それでもそんな俺に踏み込んできてくれた敦が俺を愛してくれている。ブワッと押し寄せてくる幸福感に、たまらず俺は手を解いて抱きついた。
「敦……敦、ありがとう……」
自分から唇を重ね、舌を差し出す。優しく確かめるように敦の舌が俺の口内を舐り犯していく。蕩けていくような感覚に、されるがまま俺は脚を開いた。
「悠さん……キツかったら言ってな?」
そう耳元で囁くと、敦の指先が後ろに触れる。ゆっくりとゆっくりとそれが中へと押し入ってきた。
「んっ…… 」
搔き回すように、探るように、敦の指が俺の中を蠢き快感を煽る。久しぶりのその感触にどうしても息が上がってきてしまう。
「悠さん……気持ちいい? そんなに固くならないで……そんなに強く抱きしめなくても俺はどこにも行かないよ。ずっと……一緒だ」
首筋に顔を埋め、俺に囁く。そのまま顔を上げ柔らかく唇を重ねてきた敦に何度も何度もキスをされた。
愛しいと思う気持ちが全身から伝わってくる。敦の手が俺の体に触れるたびに、そこからフワッとあたたかくなってくる。
愛し、愛されて体を重ねることがこんなにもあたたかく、気持ちがいいなんて……
「悠さん……泣いてる」
今度の涙は嬉しい涙だと敦もわかってくれているから、とても穏やかな顔をして俺の涙を拭ってくれた。
「……挿れていい? もう我慢できない」
そう呟くと同時にぐっと足を持たれ敦の体が割り入ってくる。俺を見下ろすその瞳はさっきまでの優しい顔と違い雄の顔が滲み出ていて、その男らしさに思わず息をのんだ。
「んっ……!」
じっくりと慣らされてはいたものの、その久しぶりの圧迫感に息が詰まる。
「キツい? 悠さん……痛い? 大丈夫?」
俺は恥ずかしさで顔を背け、小さく首を振って大丈夫だと敦に伝えた。
「俺を受け入れて……」
耳元で囁かれ、ゾクリとする快感と共に一気に敦のものが奥深くに突き動く。思いの外、敦のその律動が激しくて、俺は必死に声を抑え敦の求めるまま体を委ねた。
「んっ、だ……ダメ………やっ……凄い……やっ……イく……ダメっ! あっ、ダメ……あぁ…… 」
いつの間にか敦の上に跨り騎乗位の状態でされるがまま揺さぶられている俺は、仰反る自分の体を支えるのに必死で、前も激しく扱いてくる敦にもうダメだと懇願することしか出来なかった。
「イけよ……俺の腹に出せって。悠さんのイキ顔見せて……俺のことちゃんと見て……んっ……出る? ほら……出せよ……いやらしい顔見せて……」
グチグチといやらしい音を立て、敦の手が俺のを激しく扱いている。
恥ずかしさに顔が火照る。
でも下から敦の視線に射抜かれた瞬間に、堪らずその欲を吐き出してしまった。
「あっ……出た……ぁ……あっ……んんっ 」
「ふふ……いっぱい出たね。ごめん、悠さんもうちょい我慢な……」
息も絶え絶え、敦が何か言っているのも頭に入らず呆然としていると、グッと肩を押されて後ろに押し倒された。そのまま足を担がれ激しく揺さぶられた俺は、また押し寄せてくる快感にどうすることもできなかった。
「や……待って! もう……だめ……おかしくなる……ひぁっ! あん……んっ……敦……やだ……やめ……あぁ…… 」
必死な表情を浮かべ更に激しく律動を繰り返す敦が小さく呻く。びくびくと俺の中で敦自身の質量が増し、中でイッたのが俺にもわかった。
「悠さん……やばい。すげえ幸せ…… 」
汗だくで、まだ俺の中に入ったままの敦が可愛い笑顔を見せながら抱きついてくる。
幸せ……
うん、凄い幸せだ──
「ふふ、悠さん、涙と涎で顔グシャグシャになってる」
両手で俺の頬を挟み込み、何度も何度もキスをする。
「俺も、幸せ……」
「悠さん、気持ちよかった? 俺……よかった?」
目の前まで顔を寄せ、ちょっと心配そうな顔をして聞くもんだから、笑ってしまった。
「気持ちよかったから……とりあえずそろそろ抜こうか……?」
俺は敦の尻へ手を回し軽く揉む。
敦は慌てて俺からずるりと抜け出すと、俺から見えないようにサッと着けていたゴムを外して処理をした。
……てっきり生でしていたのかと思っていたから、その行動に少し驚く。されるがままで、いつゴムを装着したのかさえ気がつかなかった。
「敦って……紳士なんだな」
俺の言葉に敦はキョトンとしてるから、笑ってまた抱きついた。
「敦……愛してる。ありがとう」
感情が昂ぶっているからか、俺は幾分素直になれた。
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