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101 半年後──
あれから気づけば半年が過ぎた──
敦と付き合うことになり、初めてセックスをした。お互いを思い、愛し合う事の嬉しさに涙まで流して感動したのに、今ではまた付き合う前と変らずな生活……
敦は仕事が忙しいからしょうがないんだ。
不満は無い。
仕事が早く終わり余裕があれば必ず俺の部屋に来てくれるし、泊まっていってもくれる。会えば必ずセックスをする……というわけでもなく、体を重ねなくても心はちゃんと繋がっているという安心感に俺はこの上無い幸せを感じていた。
一人じゃないんだ……
俺との幸せを考えてくれる大切なパートナーが出来たんだ。
嬉しい。
俺は幸せ者だ……
そう思っていても、時折敦に女の影がちらほらと見える。
仕事柄、沢山の仲間もいる。遊びも派手だ。敦がモテるのだって重々承知。色んな噂も嫌でも耳に入ってくる。その度に敦は俺に細かく説明してくれるし顔を見れば嘘をつかれてるわけじゃないのもちゃんとわかるんだ。
そう、これはただのヤキモチ。
好きになればなるほど、こういった事がいちいち胸に刺さって苦しくなる。
大丈夫だ……
俺は幸せだ……
馬鹿みたいに自分に言い聞かせ、敦に笑顔を見せてきた。
でも敦には何でもお見通しだった。
「悠さん? 言いたい事があるならちゃんと俺に言って」
今日も敦が部屋に来ている。
ぼんやりとテレビを見ていたのに突然俺の顎に指をやり、ぐっと自分に向けさせる。チュッと軽く唇を合わせると、にっこりと微笑みそう言った。
「言いたい事?……別に無いよ」
突然のキスにドキッとして顔を離すと、また肩を抱き寄せられキスをされる。 今度は味わうような濃厚なキス……
すぐに敦のペースにのまれそうになる。
「嘘だ。悠さん、ちゃんと言いなよ」
「………… 」
いい歳して恥ずかしい。すぐに気持ちが振り回される。それにこれは俺の単なるヤキモチだ。
「いい……お前を困らせるだけだから」
目を逸らし、聞こえるか聞こえないかの小さな呟き。それでも敦は聞き逃さずに俺の顔を覗き込んだ。
「困らせてよ。いいんだよ? 俺は大丈夫だから」
頬に手を添え、何度も啄むようにキスをされる。
恥ずかしくて擽ったいけど、あんな風にジッと見つめられるとどうしようも無い。俺は敦の胸に顔を埋めて、今まで感じていたしょうもないヤキモチを吐き出した。
「敦がモテるから……俺心配。飽きられちゃうんじゃないかな、他に好きな奴ができちゃうんじゃないかなってくだらない心配をするんだ。馬鹿みたいだろ? 信じてないわけじゃないんだよ。今までこんな風に人と付き合った事がないから……俺、たまにどうしたらいいのかわからなくなる」
敦の仕事柄、俺の中に滞る心配事はどうしようもない事くらいわかっている。言ったところで敦にはどうする事もできないのだ。
だから困らせてしまうだけ……
「ごめんな。いい歳して引くだろ? ガキくさいよな……」
言っている自分でもよくわかってる。
やっぱり恥ずかしかった。言うんじゃなかったと後悔した。
「ふふ……悠さんたら」
恥ずかしくて顔を上げられずにいる俺をフワッと抱きしめ敦はクスッと笑う。
「こんな事で困らないし、嬉しいだけだよ。参ったな…… 俺さ、最近考えてたんだけど、ちょっと待ってて……」
敦は自分の鞄からタブレットを取り出すと、パッと画面を開いた。直前まで見ていたのか、すぐに現れた画面を見て俺は首を傾げた。
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