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第12話

「もっとキモチイことしたい?」 俺は素直に頷く。 「素直だね。素直ないい子にはご褒美、あげないとね。」 嫌なはずなのに嫌じゃない。 なんだか全部が懐かしい。 「…みやにいちゃん?」 みやにいちゃん。 昔よく遊んでくれた、大好きなにいちゃん。 「やっと、思い出してくれた?」 俺の初恋の人。 「もう絶対離す気ないから。これからずっと俺のものだよ、猫貢人。」 抱き締める手は暖かくて心地がいい。 みやにいちゃんは高校生の時に違う場所に引っ越してしまった。 引っ越してからもたまに遊びには来てくれたものの、だんだん遊びには来てくれなくなってしまった。 もう会えないと思ったのに。 「寂しかった…。ずっとずっと会いたかった…。ずっとずっと、好きだった…。」 「俺もずっとずっと、猫貢人が好きだったよ。猫貢人といられるように勉強頑張ったんだよ?これからはずっと一緒だよ。」 「もう、どこにもいかないで…。ずっとそばにいて…。」 「猫貢人がやだって言っても離すつもりはないよ。寂しい思いさせてごめんね?」 これからずっと一緒なんだ…。 もう、寂しくないんだ。 すごく、幸せだ。

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