26 / 34

第26話

「…。桃香。」 「ん?何?」 桃香の手が暖かい。 冬なのに寒さがあまり感じられない。 「お家ついたらさ、桃香のさ、美味しいフレンチトースト食いたい。」 甘えていいって言ってたから…いいんだよな? 「猫貢人って桃好きだったよね?」 不意にそんなこと聞かれて戸惑いながら答える。 「好きだけど…なんで?」 「フレンチトーストに桃添えようかなと。」 「いいの?てか、桃あんの?」 「なかったかも。一緒に買いに行こっか。桃以外にも好きな果物とか選びな。」 「…。えっと…。」 「猫貢人?」 ありがとう言うのってこんな恥ずかしいことだっけ? めちゃはずい。 「えっと…その…。ありがとう、ございます?」 なんで敬語で言った?? それでもちゃんと桃香は答えてくれる。 「顔、すぐ赤くなるよな。どういたしまして。」 笑顔で優しく頭を撫でられる。 その時の桃香はすごくかっこよかった。 こんな人が俺の恋人でいいのか? ちょっと不安だな。 桃香がまた微笑みかけてくる。 俺が不安そうな顔してたからかな? 桃香の優しさのおかげで不安がなくなっていくのがわかる。 「猫貢人、家のことって何て言ってる?」 急だな。 「え、お家?なんで?」 「家(いえ)じゃなくてお家(おうち)って言うのが可愛いなぁって。」 「あ…最悪…。」 昔からの俺の癖。 無駄に「お」をつけちゃうんだよな。 最悪…。 「別に、可愛いから俺はいいと思うよ。もっと好きになった。」 「俺も…好き…。」 こんなバカップルみたいな事はしないと思ってたからなんだかむず痒い。 でもなんか、このままでいたいな。

ともだちにシェアしよう!