「おいしかったー。ごちそうさま」 　ケーキを二個ペロリと食べ終えた空は唇の周りについた生クリームを紅い舌でペロリと舐めとる。 　その仕草が妙に色っぽく見えて、柄にもなく雪人はドキッとした。 　この俺がどうして、こんなガキ……しかもエイリアンにドキッとさせられなきゃいけないんだよ。 「どうかした？」 「別に。そんなことよりおまえ、故郷の星ではどれくらいの成績だったんだ？」 　このままじゃ、すっかり空のペースに巻き込まれてしまうので、雪人は先生ぶって訊ねる。 「俺は超優等生で成績はいつもトップクラスだった」 　空はふふんと尊大に笑う。 「嘘くさい」 　雪人がポツッと零すと、空は顔を真っ赤にして怒った。 「なんだと？」 「だっておまえみたいな生意気なやつが超優等生だなんてあり得ない。どちらかと言うといつも生活指導の教師に睨まれているタイプだろ」 「うるさい。生意気なのはあんたの方。大体地球人のくせに俺に偉そうにすんなよ」 「おまえ、それは差別発言だぞ」 「しかたないだろ。俺の星は地球に似てるけど、地球よりもほんの少し科学が進んでいて、能力も地球人より少しだけ上なんだから。あんたにはテレパシーも使えないし、あのＵＦＯを運転することもできないだろ」 　こんなふうにむきになるところはまだまだ子供の証拠である。 　大人の自分は冷静にかつ厳しく空を諭すべきなのだろうが、暴言のあとにあかんべーまで追加されて、さすがに雪人の方も大人げなくキレてしまった。