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第14話

「ほら、さっさとやるんだ。じゃないとまたつねるぞ。今度はほっぺたよりも痛いところをつねってやるからな」 「あんた、本当に性格悪いな。いたいけなエイリアンいじめて楽しんでんじゃねーよ」 「あんたじゃなくて、先生だ。それにおまえのどこがいたいけなんだよ。地球人よりもずっと能力があんだろ? とにかく早くしないと永遠にドーナツは食えないぞ」  空は小さく舌打ちすると、渋々問題集に取り掛かり始める。分からないところは雪人が説明してやり、なんとか問題集のノルマ分をやり終えた頃には一時間近く経っていた。 「やれやれ。空、ドーナツ食っていいぞ……って早っ、もう食ってるのかよ」 「頭使って腹減ったんだよ。あーあ。先生が無茶振りするからオレンジジュース氷が溶け切って薄くなってんじゃん」  不満を言いながらも。ドーナツにかぶりつく姿は幸せそうだ。 「それ食い終わったら、もう一度テストするからな」 「……っ……。あんた、本当Sだな」 「おまえの出来が悪いからだろ。ほら、俺の分のドーナツもやるから。これで頑張れるだろ?」  雪人が自分の分のドーナツが乗った皿を渡すと、空は目を輝かせた。 「ほんと、甘いもの好きなのな」 「地球の食べ物は、俺の星よりもおいしいからな」  見ているだけで口の中が甘ったるくなりそうな食べっぷりを見せた空は、薄くなったオレンジジュースを飲み干すと、もう文句は言わず、素直にテスト問題を解き始めた。  雪人の教え方が良かったのか、空が言ってたように本当に故郷の星では成績がトップクラスだったのか、どちらかは分からないが再度挑戦したテストはどれも満点に近いものだった。 「あーあ。こんなに真面目に勉強したのって、何年ぶりだろ?」 「故郷の星にいるときは勉強しなかったのかよ?」 「しなくても、できたからね」 「あっそ」  相変わらず憎まれ口ばかり叩く空の方へ視線を投じると、机に突っ伏している。窓から入って来る夏の日差しに、今は赤色ではなく茶色の髪がキラキラと輝いている。  雪人は不意にその輝く髪に触れたくなった。  おもむろに手を伸ばすと、気配を感じた空がガバッと起き上がり、警戒も露わにする。 「なんだよ? その顔は」 「別に。ただの条件反射」  どうやら昨日頬をつねったことがトラウマになっているらしい。 「おまえの痛覚が鋭いこと、昨日は知らなかったんだから、しかたないだろ」  そう言ってから、ゆっくりと空の髪に触れた。

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