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第21話
一瞬、ピクッとしたものの空はそれ以上は過剰反応することなく、素直に髪を触らせてくれる。
そのままやさしく髪を撫でると、空はうっとりとされるがままになっている。どうやら髪を撫でられるのは空にとって心地のいいことらしい。
「……空。そんな顔してるところ、俺以外には見せるなよ」
雪人の口から漏れる本音。
「……なんでだよ?」
空が大きな目で雪人を見つめて来る。
「エロいから、襲われちまうぞ」
「なっ……」
空は慌てて髪に触れている雪人の手を振り払った。
「あ、あ、あんた、なに変なこと言ってんだよっ?」
「エロいものはエロいからしかたない。それよりさ、空。俺と二人きりなんだから本当のおまえの姿を見せて」
茶色がかった髪と瞳もかわいいが、空本来の姿の真紅の髪と瞳が見たくて。
地球上では雪人だけが知っているという優越感と、自分以外には誰にも見せたくないという独占欲がどんどん大きくなっていく。
またなにか反抗的な態度を取られて、見せてくれないかと思ったが、意外にも空はすぐにその真紅の髪と瞳を見せてくれる。
「……先生に言われたから見せるんじゃないから。俺もこの姿の方が気分的に楽なだけだから」
素直じゃない空がとてもかわいくて、雪人は再びその髪に手を伸ばした。
「なんでだろ。おまえの髪に触れてたらすごく気持ちが安らぐ」
「先生って変な奴だな」
「そうか?」
ときどき空の髪に触れながら、雪人は危なげのない運転で車を走らせる。
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