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第26話
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コンビニで買い物をして帰って来た二人はソファへ並んで腰かけた。
空は雪人と二人でいるときは本来の姿でいることにしたようで、真紅の髪と瞳に戻っている。
その紅い色を見つめながら、雪人は訊ねた。
「なあ、空。俺、前からずっと聞きたかったんだけど」
「なに?」
ミニテーブルに広げたジュースとお菓子を口にしながら、空が首を傾げる。
「おまえの血ってさ、何色なの?」
「先生って、馬鹿? 血は赤いに決まってるだろ」
「いや。なんとなくエイリアンの血の色って緑とか青色のイメージがあるから」
「まだ偏見を持ってるのかよ」
空が口をとがらせて拗ねる。雪人はその小さな唇から目が離せない。
さっき海で衝動的に空にキスをしてしまった。嫌がられ突っぱねられるかと思ったが、空は雪人に縋り付いて来た……。
もしかして空も俺のことを思ってくれている?
淡い希望が雪人の心に芽生える。
空への恋心はもう抑えられないくらい大きくなっていた。
生意気でわがままで、でもまだまだ謎だらけのこのエイリアンのことなら、どんな小さなことでも知りたいと思う。
「……なあ、空。おまえ故郷の星では恋人、いた?」
「……なんで、そんなこと聞くの?」
「んー。単純な好奇心」
それは雪人の嘘だった。
本当は気になってしかたないことだ。
もう自分の星には帰らないと言っていた空だが、恋人を残してきたのなら、いつか気持ちが変わって帰ってしまうかもしれない。それが怖いし、嫉妬の気持ちもある。
しかしそれは雪人の杞憂に終わった。
「そんなのいない」
空は興味なさそうに答えてから、逆に聞き返してきた。
「そういう先生こそいるのかよ? ……彼女、とか」
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