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第27話

「俺? いないよ」  雪人が正直に答えると、空は少しの逡巡のあと言葉を続ける。 「……じゃなんで、こんなに部屋きれいなんだ? 誰か掃除してくれる女の人いるからじゃないの?」 「そんなんじゃないよ。掃除も洗濯もみんな自分でしてる。この通り部屋は狭いし物も少ないから、すぐ済むし」 「そうなんだ……?」 「……なに? 気にしてたの?」  雪人がうれしさを隠しきれず問いかけると、空は瞬時にして真っ赤になったあと、それを隠すかのようにソッポを向いた。 「気になんかしてない」  愛想無く言い捨てるが、耳まで赤くなっている。  ……マジかわいい……。  六つも年下の高校生でも同性でも、エイリアンだって構わない。もう止められない。  どうしようもないくらい空が好きだ。 「空、こっち向いて?」 「嫌だ」 「空」  どうしてもこちらを向かない空に、雪人は実力行使に出た。  舌で空の赤く染まった耳をぺろりと舐めてやったのだ。 「ひぁっ……」  空が艶やかな声を上げ、雪人の方を見る。 「……耳、感じた?」 「か、感じてなんかないっ」  必死になって平静を装っても、上気した頬が、潤んだ瞳がしっかりと真実を露呈している。  雪人は空の左手を取ると、その甲にふわりと口づけした。 「……っあ……」 「こんなところも感じるんだ、空」 「うるさいっ……離せよ……!」 「嫌だ」 「……っ……どうしてっ……?」 「俺はおまえが好きだから」  抑え込んでいた恋慕の思いがとうとう雪人の唇から溢れ出てしまった。

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