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第28話

「…………」  あまりにも唐突な告白に、空は真紅の瞳をした大きな目を見開いたまま固まってしまった。 「空?」  空の手を握り込む両手にほんの少し力を入れると、ようやく反応する。 「……からかうなよ」 「からかってなんかいない。俺は本気でおまえが好きだよ」 「嘘ばっかり」  空が雪人の両手から逃れようと自分の手を引っ張る。 「馬鹿。そんなことしたら、おまえ痛いだろ」  雪人はいったん空の手を解放してやると、今度は華奢な体ごと抱きしめた。 「好きだよ……空……好きだ……」 「……っ……やめ……離せって……」 「俺の言うこと信じてくれるまで離さない」 「せんせっ……苦しい、から……」  空が腕の中で弱々しくもがいても、雪人は抱きしめる腕を緩めなかった。 「好きなんだ、おまえが。信じて。空」 「そんなの、信じられな……っん……」  雪人はその激しい恋情の赴くまま空の唇に自分のそれを押し付けた。 「……ふ……あ……っ……」  キスの合間に漏れる空の声は艶めかしい色を含んでいて。雪人の欲望を最大限に煽る。  角度を変え、何度も空の唇を堪能しているうちに、腕の中の体が小さく震え始める。  そして雪人が空の下唇を甘噛みした瞬間、大きく体をのけ反らせた。  空は肩で息をしながら、ぐったりと雪人の体にもたれかかって来る。 「……え? もしかして、空。おまえイッた?」 「……うるさい」  雪人はほんの少しハードな口づけをしただけだ。まだ舌も入れていない。  それだけでイクなんて、どれだけ感じやすい体なんだ?  腕の中の空はようやく呼吸が落ち着いてきたようで、雪人の胸に手を突っ張って逃れようとしている。  雪人はそれを許さず、空の小さな顔を両手で包み込むようにして、真紅の瞳に見入った。  空の瞳は快感の名残りに潤み、目尻から涙が滴っている。 「空、おまえは俺のことどう思ってる?」 「……先生って、本当性格悪い。そんなことっ、聞かなくても分かるだろ」 「分からない。ちゃんとおまえの口から聞くまでは、分からないよ……空」  雪人が強請ると、空は視線を彷徨わせてから、ようやく雪人が欲しい言葉をくれる。 「そんなのっ、好きな相手じゃないと、あんなふうになんてならない……」  空がそう言ったのと同時に雪人はその細い体を抱き上げた。

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