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第47話

                 * 「雪人、今頃なにしてるかな……」  鬱蒼とした山奥にひっそり隠れるようにして置いてあるUFOの中で、空は寂し気に独り言を漏らした。  指輪を贈られたとき、本当はなによりもうれしくてたまらなかった。  ずっと一緒にいたいと言われて、自分も同じだと応えたかった。  ……でも、できない。  いずれ二人とも悲しい思いをすることが分かっているから。  それに『あいつ』が地球にまで来てしまった。  今はまだ空の居場所には気づいていないが、粘着質なあいつのことだ。いずれ見つけ出されるだろう。  このままだと雪人にも地球での両親にも危険が迫ってしまう。  だから、逃げることを選ぶしかなかった。  地球での父さんと母さんにかけた暗示を解き、この山の奥深くに隠してあったUFOまでやって来た。  でも、これから先どうすればいいのか。空にも分からない。  できることなら、もう一度だけでもいいから雪人と会いたい。  自分の方から拒絶しておきながら勝手なことは分かっているけれども。  好きになってはいけないと思いながらも、決して止められないのが恋というものだと空は雪人によって教えられた。  好きだと言われ、抱きしめられて、あとに来る別れの瞬間を予感しながらも、気づかないふりをしてつき合い続けた……雪人といるひとときがあまりに幸せ過ぎたから。  空は小さく溜息を落とした。  本当なら今すぐ地球を離れなければいけないのかもしれない。  けれども空は心の奥深くで、いまだ雪人の面影を強く追い求め、彼がここへ来てくれるのを待っている。 「馬鹿だな、俺。雪人がここへ来るわけがないのに」  雪人が、空がいなくなったことに気づき、初めて出会ったこの山を思い出したとしても、UFOの場所にまではたどり着けないだろう。  初めて出会った時に雪人がこのUFOを見つけたのは全くの偶然だった。  そんな偶然が二度も起こるわけがないし、こんな鬱蒼とした山奥にまで迷うことなく来ることはほとんど不可能に近い。  空がもう何度目が分からない溜息を零したとき、その声が頭の中に響いた。

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