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第51話

「……俺たちの星は地球よりも科学が進んでいることは話したよね。色々な人たちが研究を重ねて、その成果が出て……俺たちは二十歳を過ぎたら老いのスピードがすごく遅くなるような体になった」 「…………」  雪人は切れ長の目を見開いた。  空の星は地球より少しではなくかなり科学が進んでいるようだ。不老を可能にしたというのだから。 「地球人よりも老いるスピードは十分の一。つまり地球人が三十歳年をとっても、俺たちは三つしか年をとらない」  空が両手で顔を覆う。 「それに感覚は鋭くても、俺たちは地球人よりもずっと頑丈にできてる。怪我をしても治るのは早いし病気にもかかりにくい。だから、雪人はいつか必ず俺を置いて、先に逝ってしまう。俺を独りにする。そんなの耐えられない……」  空が顔を覆ったまま幼子のようにいやいやをする。 「そんなことで悩んでたのか……」  どこか呆れを含んだ雪人の声に空は大きな瞳を瞬く。 「そんなこと、って……」 「だって、そんなこと俺にしてみれば、大した問題じゃない。むしろおまえよりも先に逝けるならそれはそれで幸せなことなんだけど」  雪人があっけらかんと言ってみせると、空は一瞬ポカンとした表情になったあと、色白の頬を紅潮させて怒りだした。 「そ、そりゃ雪人の方にしてみればそうかもしれないけど、雪人に置いてかれる俺はどうすればいいんだよっ……。ずっと長い時間を独りで生きなきゃいけないんだからっ。雪人だって逆の立場で考えてみれば分かるだろ!?」

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