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第59話
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男を故郷の星へと強制送還する前にUFO内のテレポート機能で救急病院の前に来ていた二人は、エントランスのところで、地球からものすごいスピードで去っていくUFOを見上げた。
男を乗せた空のUFOは自動運転で故郷の星を目指す。
「いいのか? あのUFO手放しちまって」
「もういらないから。これからは雪人がいる地球が俺の故郷になるんだもん」
「空……」
空の綺麗な真紅の瞳に魅入られながら、雪人がキスをしようとすると、その顔を両手が押し返す。
「だめっ。そんなことより早くお医者さんに診てもらわなきゃ。雪人、頭打ってすごい血が出たんだから」
「だからもう止まってるし。全然痛くもないんだけど」
「だめ。ほら行くよ、雪人」
精密検査の結果、強い打撃を頭に受けた形跡はあったが、既にもう治りかけているという。
「傷口の具合から見て、かなり強く頭を打っているはずですね。ここまでの打撃を受けてそうして立って歩けていられるのが不思議です」
医者も頭を抱えて不思議がっていた。
「疲れた? 空」
救急病院を出て、雪人のマンションへと帰ってきた二人はいつものソファへぐったりと座り込んだ。
「……少し……ううん、かなりかな。色々なことが起こったし。雪人が怪我して頭から血がドクドク出ているのを見たときは、俺も生きた心地がしなかったもん」
そのときのことを思い出したのだろう、空の体が微かに震える。
「ごめんな」
柔らかな髪を撫でて安心させてやったあと、ちゅっと耳にキスを贈ると、空が快感の吐息を零す。
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