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智之が一度息を吐く。眉間に皺が寄っている。
智之「あの……天子さん、もう一度言ってもらっても良いですか?」
天子「はぁ……、ですから、こちら私の兄です。あなたのことを好きだと言っています」
天子は兄を手でさす。
智之「ああ、はあ……、ありがとうございます? いやいや、僕たち結婚……」
首を傾げてから、いやいやと首を振る智之。
天子「しました。しましたけど、私はあなたが好きではありません。あなたを愛せません。私はあの家を出たかっただけなんです。その代わり、兄はあなたを好きだと言っています」
とても嫌そうな顔でツラツラと告げる天子。
天子の隣で寛也は、ずっとニコニコと笑っている。
智之の心の声「お義兄さん、ニコニコしてる場合じゃないんですよ?」
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