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【7】-3

 でも、今、カエルなんですけど……、と言いかけて、ああ、と思い出した。  あの日、雫は確かにカエルを助けた。  あのカエルがルイだったのだ。ルイは、本当に呪いをかけられていたのだ。 「店長……。わかりました。やってみます」 『えっ。ちょ……、四葩く……、今のは、冗だ……』  まだ何か言っている店長の声を無視して電話を切った。  逆さまになってベッドの下を覗き込み、どのようにしてカエルとまぐわえばいいのか思案する。わりと気持ち悪い感じがしてちょっと引くが、ルイのためなら頑張れる気がした。 「ルイ……。大丈夫だからね」  ゲコ、とカエルのルイが鳴いた。  ルイはすぐに泣くのだ。  綺麗な顔にはらはらと宝石のような涙を流す。  あんなに泣くのは、それだけ長い間、誰にも信じてもらえず、呪いを解く道が見つからなかったからに違いない。  きっとそうだ。  だとしたら、雫はやはりルイを信じてよかったのだと思った。

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