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*都心ではあるが住宅街。晴れた日の昼下がり。
高い塀が巡らされ、監視カメラが至る所に取り付けられた日本家屋。
明らかに一般家庭とは様子の違うその家の頑丈そうな門の前で、大きく深呼吸をする大人になった諒一。
■モノローグ 諒一
一哉との別れから九年。俺は、弁護士になった。
門の上に広がる空を見上げる諒一。
諒一M「一哉は…元気だろうか」
インターフォンを押す指。
出迎えに出る強面の若い衆。
和風な廊下。案内された無人の和室に足を踏み入れる諒一。
男「峰岸先生。こちらでお待ちください」
諒一「ありがとうございます」
下座に正座する諒一。
諒一M「落ち着く香りだ…」
■モノローグ 諒一
勇誠会系辰巳組。その本宅である。現在の組長の名は、辰巳一意。一哉の義理の父にあたるその人物は、顔の割にそう性格が荒くないと聞いている。
膝の上に置いた両手を握り締め、見つめる諒一。
諒一M「やっとここまで来られた」
開く襖に気づく諒一。
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