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Ⅲ 透明よりも切ない虹④
大きな手が、ぷっくり膨らんだ胸の実を撫でる。
指の腹が乳輪をなぞる。
「おや、ココも膨らんできたね」
「ダメっ」
「隠し事はいけないな。私達は夫婦になるんだよ」
そんなの……
「急に言われても」
「実感がわかないか?」
「うん。先生」
「その先生と言う呼び方もおかしいね。夫なんだから」
私の名前、忘れてしまったかい?
「拓史 ……先生」
「先生はいらないよ」
「拓史……さん」
「いい子だね」
凌司さん以外の人を、初めて名前で呼んだ。
(どうしてっ)
あなたと比べてしまうのだろう。
あなたなら、こんなふうに頭を撫でて……
こんなふうに俺の名前を呼んで……
こんなふうに俺の手を握って……
抱いてくれるのかな?
「悠君?」
「なんでもないです」
「敬語はいらない。夫婦だろう」
「……えっと。そうだね」
「そうだよ」
「ヒャっ!!」
「気持ちいいかい?」
先生の……手!
「ここが陰茎だ……中学生でも知ってるね!」
「やめっ」
「どうして?気持ちいいだろう」
だって恥ずかしい!!
「大きくなっても、寝袋の中にいるおねむさんだからかな?」
「なんでっ」
「君の事はなんでも知ってる。私は主治医だ。……αに包茎はいないのに、よく今まで誤魔化せられたね。見栄剥きしてたのかな?」
「ヤンっ」
「夫の質問に答えるんだよ。君のちんこは見栄剥きかい?」
「ハヒっハヒっ」
グリグリやめへぇ~
布地の下の大きく膨らんだソレ、先生が意地悪する。
「失敬だな。君を悦ばせているんだよ」
さぁ、答えようか!
「包茎ちんこは見栄剥きかな」
「そぅ…だからぁ~」
「なにが?」
「おれの、ちん……」
ふしだらな言葉言えない。
「ちゃんと言うんだよ。大きくなって、こんな言葉一つ言えないのは恥ずかしいよ」
「おれの……ちんっ」
「なにちんこかな?」
「ほぅ…けー……」
「そうだ!君は包茎だ。皮かぶり坊やだね!」
「かわのなかのムスコは……見栄剥きだから~」
「やっぱり、そうだったか。嘘つかなくて偉いよ!」
チュウゥゥゥー
「アハゥアァアアーッ!!」
目の前にチカチカ星が飛んだ瞬間だ。
「イクぅッ!!」
太股が痙攣する。
熱い迸りが止まらない。
一気にはぜた。
トピュ、トピュ、ドビュウッ
「アフ」
出しているのに、気持ち良すぎてまだ腰揺らしている。
先生の口の中で。
「ひもひいぃ~」
気持ちいい。
快楽の波の誘惑に逆らえない。
気持ちいいよ……
ごめん、凌司さん……
心の中であなたが砕けていく。
あなたの面影が風になって。
先生なら。
拓史さんなら、俺を幸せにしてくれる。
なのに。
砕けたPrismがきらめく悲鳴を上げて囁くんだ。
凌司さん
闇色の、あなたと同じ瞳の色に心が堕ちていく。
好き
夫婦になったら、拓史さんはβの俺がαを騙っていた罪を黙っていてくれる。
だから拓史さんを好きにならなくちゃ……
でも一番じゃない。
一番は、あなた……
これからも、ずっとあなた……
快楽に流された体はこんなにも、体の欲望に溺れていても。
まだあなたの面影を追い求めている。
あなたの手じゃない。
あなたの唇じゃない。
あなたじゃない人が俺を抱く。
「陰毛までベトベトだ……こんなところまで垂れてしまったね」
「アヒんっ」
タマを強く吸われて、腰が震える。
「君のミルク、拭いてくれるかい?」
「あっ」
拓史さんの頬、真っ白だ。盛大に飛ばしてしまった。
口で……口づけて。
キスしないといけないんだ。
拓史さんが……夫がそれを望んでいる。
「君の中に入って、楔を打ち込めば……君は私のものになるのかな」
「俺はとっくに、あなたのものだよ」
口づけたあなたの味は、ほろ苦くて、涙が溢れた。
「気持ちいい」
気持ちいいから、溢れた涙だ。
「また君はそうやって、嘘をつく」
「ほんとうだよ」
だって。俺の股間萎えない。
まだ硬いイチモツを、拓史さんの太くて大きな幹にこすりつける。
「ください」
あなたを俺に……
「一つに繋がりたい」
繋がるから。
「その前に、あの人に会わせて」
どうして……言っちゃったんだろう。
夫の前で。ほかの男に会いたいなんて。
あなたを想いながら
あなたじゃない逞しい腕に抱かれている。
ぎゅうっと、強く、強く……
「仕方のない人だ」
吐息に揺れる声を胸の中で聞いた。
あなたの体温に抱 かれて。
「妻の我が儘は聞かねばならないね」
「信じて。あなたを裏切らない」
あなたは俺の夫
「凌司さんには会わない」
だけど、もうちょっとだけ
あとちょっとでいいから、あの人のそばにいさせて……
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