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カーティス(4)
「ぅっ…ヒック……っあっ…」
泣くフェルの背中をそっとカーティスの舌がなぞった
「ひぃっ………!?」
傷口を舐められる感触に震えながらフェルは言った
「お…おゆるしください おゆるし……を」
なめながらカーティスは問う
「誰にやられた?」
頭を左右にフルフルと振るだけで答えようとしないフェル
その背中の傷の1つにギリリと爪を立てる
「ぅううううああああああっつ!!!」
悶絶するフェル
その傷から染み出した血をなめながら
「聞こえないのか?俺の問には1度で答えろ 誰にやられた」
息も絶え絶えにフェルは答えた
「は…ははうえさま……」
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この母上様というのはフェル実母のことではなく
カーティスの母であるラ・トゥール伯爵夫人のことであろう
王族を母に持つ誇り高いあの人が
夫である伯爵の普段からの数々の浮気行為に耐えていた
自分は伯爵夫人であり子も2男1女をもうけ揺るぎない地位にいる
伯爵が自分に興味をなくしていることには気づいていたが
自分だけが妻と名乗り子を生むことを許された者だという誇りが
フェルの登場によりもろくも崩れ去ったのだ。
そんな母の気持ちもわからないでもないが いささかやりすぎだ
この傷は痕になるな…
天使の羽を奪われた天使はどうなるんだろうと考えると
また興奮してきた
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