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出会い(1)

「クスクスッ…」 少年は木々の間をさっそうと馬を走らせながら笑いを堪えられずにいた 少年はまだあどけなさが残る10歳前後のスラリとした鹿のような体格をしていた 漆黒の髪を肩で切りそろえ、漆黒の瞳に高貴な光を宿し後ろを振り返る 「ようやくまいたな」 高貴な生まれであろうその少年は分刻みで課題を与えられる毎日に飽き飽きしていた。 (少しくらい息抜きしてもいいだろう) 自領地とはいえ危険が全くないわけではないがここは道もあるようなないような山奥の森の中である。 馬をユックリと歩ませながら木々の木漏れ日を浴びていると突然木々が途切れ開けた場所に出た そこは小高い丘になっており何故かそのあたりだけが木々も生えておらず 太陽の日差しがまっすぐにその丘の上に降り注いでいるのが見えた キラリ キラキラと何かが丘の上で光っている 馬から降りそのへんの木につなぐとユックリと丘に向かって歩き出した キラキラはだんだんと明確になりそれは人であると確信した 初夏の日差しを一身に浴びたそのキラキラは小さな子供のようだった 膝立ちになった子供は両手をいっぱいに空に向けて伸ばし目をつむり何かを祈っているようだった そこだけ別世界のようにキラキラが集まっている様は天界かと錯覚されるほど神々しいものだった パキッ 少年は足もとの小枝を踏みつけ音を立ててしまった その瞬間キラキラしい子供は瞳を見開き少年の方を見つめ驚いた表情を見せた 茶から金へと移り変わる右目と新緑色から翡翠色へと移り変わる左目 こんな瞳は見たことがなかった (目がはなせない…なんてきれいな瞳をしているんだろう) 金色の髪 白い肌 完璧なまでの天使のような容姿に 少年が呆然としていると 「かみさま…?ですか?」 と子供が問いかけ両手を伸ばしてきた (何を言っているんだろう神は君のほうじゃないのか?) と不思議に思いつつその手に触れる (あたたかい…生きてる 天使じゃないのか?) 少年の手を両手で握り見上げる天使 「あのぅ…かみさま おねがいをききにでてきてくださったのですか?」 光によってクルクルと色の変わるオッドアイに心を奪われつつもなんとか返事を返した 「ボクは神様じゃないよ 君こそ天使なんじゃないのかい?」 手を握りながら子供を立たせると自分の胸のあたりまでしか身長がなかった 「ボクはママをなおしてほしくてかみさまにおねがいしているの やっと来てくれたか……かっ…みさまだとおもったのに…」 とみるみる両目いっぱいに涙があふれてきた あわてた少年は子供の頭を撫でながら 「ごめんね!ボクは神様じゃないけどいいお医者様も知っているしなんとかしてあげられるかもしれない」 そういうと子供はパァツとこぼれるような笑顔を見せて抱きついてきた フワッと良い香りが鼻孔をくすぐりウットリと目を閉じた

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