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大事な石(7)
「うまくできた!」
大きな花の冠を手に自慢げに見せてくる
作り方を教えてあげたらすぐに覚えて作ったのはいいが
どう見てもそれは大人の頭のサイズより遥かに大きい
「じょうずにできたね」
膝の上にアンジュ を載せたまま微笑むジェイ
「でもこれは少し大きいからネックレスにして もう一つ作るといいよ」
とアドバイスすると
ハッとして自分の失敗に気づいたのか顔を真っ赤にしてうつむいた
自慢げに言ったものの失敗していたのが恥ずかしいのか
いつまでもうつむいたまま顔を上げないアンジュ に
「だいじょうぶだよ 1回教えただけでこんなにうまくできるんだからアンジュ は器用だよ。
ボクなんて作れるようになるまでずいぶんとかかったんだから」
といって頭をなでながらなぐさめる
春の風の中 いつまでも二人で遊んでいた……
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(この美しい子供が本当に父の血を引いているのか…?)
カーティスの部屋のベッドで眠る異母弟をしげしげと見つめる
水をかけたせいでガタガタ震えていたので、自分のベッドでしばらく抱きしめ温めてやると
スゥッと眠りに落ちた
真っ白な肌 美しい黄金の髪 整った顔立ち どこをとっても父には似ても似つかない
(100%母親似だとしたら絶世の美女だろうな…1度でいいから見てみたかったな)
この子の母親が亡くなってもう半年にもなろうというのに
父はいまだに抜け殻のようになっていて誰とも会おうとせず、
その母親を閉じ込めていた領地のはずれの城に籠もったままだ
(こんな場所に預けるから傷だらけにされるんだ)
自分がしたことを棚に上げ抱きしめながら背中の傷に薬を塗り込めてやる
その刺激が痛んだのか顔をしかめながらユックリと目を開いた
「うふっ…」
寝ぼけているのか天使の微笑みでギューッとカーティスに抱きつき顔を胸元にスリスリと押し付けてきた
ズッキュン……
はじめて見た笑顔に心臓がエグられるような衝撃を受けた
(きっと母親と勘違いしているんだろう)
そしてまた眠りに落ちていった異母弟の髪をなでながら
本気で自分のものにしたいと思った
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