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Petit frère(1)

    「離してっ お…降ろしてっ…!!」 銀髪の美しい副会長に軽々とお姫様抱っこをされて運ばれた先は 校舎棟の横にあるひときわ豪華な建物 ガタガタと震えが止まらないのは先程の暴力のせいではなく 抱き上げられたという直接的な肌の接触のせいだった 大きな胸板を必死で押し体を話そうともがいているがビクともしない その様子を楽しげに見ながら2階の1室へと入っていく 「なんだ ソレは」 不機嫌そうな声は生徒会長のジュリアスのものだった 4階建ての煉瓦造りのこの建物は生徒会棟でここは生徒会執行室だった もがくフェルを応接セットの長ソファにそっと下ろしながら 「ケガした小鳥が落ちてたのでね 手当しようかと」 長い銀髪をなびかせながら優美に振り返り笑った (あれは…昨日の騒ぎの小さい1年生か) 黒髪の生徒会長は書類に目を落としながらちらちらと見ている 頬を真っ赤に腫らしてガタガタ震えているがうっとおしい前髪で表情は見えない 「医務室に連れてけよ」 「やだ 遠いもん」 アークライトが水で濡らしたタオルを差し出すが また触られるのかと怯えたフェルはソファの端まで逃げる 「冷やさないと…ね」 優しい眼差しで諭すが 頭をフルフルと振り拒絶するフェルを見て ジュリアスは意地悪く笑った 「嫌われてんな プププ」 楽しくて仕方がないという笑い方に 「カッチーン」 幼馴染でもある王子の意地悪い言動にこめかみを震わせる ならばと コップを取り出しウォーターサーバーから冷水を注ぎ震えるフェルに差し出した 「あ…りがとぅ…ございます」 受け取りコクンと一口飲み込んだ 冷たい液体は頬の痛みを軽減するかのように気持ちよく喉を通過していく 続けて2口3口と飲みながら部屋の様子を前髪の隙間から見回す 高い窓にはベロアの朱のカーテン アイアン製の美しい家具に手の混んだ織物のカーペット 伯爵邸にいた頃よりも豪華なしつらえに緊張する 体の震えが収まってきたと思ったら 強烈な睡魔が襲ってきた 「っ…な……ん…?」 持っていたカップが豪華なカーペットに転がり中身がこぼれた ソファの肘掛けに崩れるように沈み込むフェルを見て驚くジュリアス 「なんだ?なんで寝ている?」 立ち上がりながらソファの前に立つ幼馴染に問いかけると アッケラカンとした口調で 「そりゃ 睡眠薬入れたから?」 「はぁ?!」 呆れたように銀髪の幼馴染を見つめる アークライトは白いシャツの左胸ポケットに入れていたフェルの分厚いメガネを取り出し ジュリアスに見せて 「こーんな度も入ってない伊達メガネかけて うっとおしい前髪で顔を隠しているんだよ?」 「見たいじゃない」 フフフと楽しげに笑う

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