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Petit frère(2)

天使か…? 意識を失い華奢な手足を脱力させ 長ソファに寝かされて眠っている少年を見て唖然とする 透き通るほど白い肌 小さな顔 ピンクに色づくかわいらしい唇はわかっていたが 前髪をかきあげ顔全体を顕にするとその整った容姿は人間離れしていた 芸術家が神話の女神を彫刻したような美しい顔が 先程の暴力で赤くなった頬が一層美しさを際立てている 「天使…だな」 隣のアークライトも驚いたように呟く 濡れタオルを頬に当て金髪を撫でながら 「こりゃ 隠しとかないとすぐヤラレちゃうな」 と物騒なことを口にするが ジュリアスの耳には届いていない (天使・・・アンジュ(天使)!) ************************ アハハ キャー フフ 捕まえるギリギリのところでわざと転んだりして捕まえないように追いかけるジェイ キャッキャ アハハハ いつまでも続く追いかけっこに蝶が参加してきた ヒラリヒラヒラ いつもなぜか蝶やトンボ 小鳥やリスなどが自然と寄ってくる 永遠にこの森のなかで二人で暮らせたら… ありもしない願望を胸に 少ない時間を目一杯楽しむ日々 ********************************** ソファに横たわる天使を見つめ続ける親友に 「ジェイ…?だいじょうぶか?」 と声をかけるが返事がない クール 冷静 非情とまで言われるこの男が 口を半開きにし目を見開き信じられないと顔に書いてあるような表情で呆然とする様は 幼馴染で親友のアークライトでも見たことがなかった (寝てた…?) ウッスラと目を開けると自分を見下ろす大きい人が二人 キラキラキラリ 金色と翡翠色の美しい瞳 (天使の顔にこの瞳…ヤバスギだろ) アークライトは天を仰いだ 意識が覚醒するに従って自分の頬に当てられたタオルとその手に気づく 「ひやぁっ…!!」 ソファの上で飛び上がりその手を払い除けた ソファの背を抱き込むようにガタガタと震えるフェル 呆然と見つめるジェイの肩を 楽しげにつつき現実に引き戻してやる (親友が恋に落ちる瞬間を見てしまった) 視線を震えているフェルに落とす (まぁ…わかるわ… こりゃダメだろ) 男色を毛嫌いするアークライトでも側に置きたい触りたいと思ってしまう 美しいと言われなれてる自分やジュリアスだが これはもはや次元が違う 「んで…どうするんだ?」 ジュリアスに問う 「…どう…?って?」 ジュリアスは視線を少年から外すことができない魔法にでもかかっているのか 呆然としたまま見つめ続けている ハァー… やれやれといったジェスチャーで 「狼の群れに天使を放り込めないだろ」 ため息を付きぶっきらぼうに言う 「どっちかのPetit frèreにしないと すぐやられちゃうぞ」 ************************** 『Petit frèreとは』   自分のものだぞっ♪ って感じの弟分認定制度で   お兄様の家の紋章を模ったブローチを襟につける   公認カップル **************************

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