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新生活 (1)

「遅かったな こってり叱られたのか?」 息を切らせ走って教室に到着したのは歴史学の授業が終わった休み時間だった 「うん!叱られた」 ふにゃりと笑うフェルの頬の紅さにネヴィルは気づいた 「どうした ほっぺ真っ赤だぞ」 「あ…は はしってきたから!アハハ…」 照れたように言う ネヴィルがとっててくれた隣の席に付き教室を見渡すと 自分を射るように睨みつけている一人の少年がいた (さっきの…!) まだ怒ってるのかな…どうしよ… 見つめたままのフェルに 「ああ あいつキレーだろ~初等部のときから美少女って呼ばれてる フロラン・シャンプルー 男な」 念押すように言うほどに どうみても少女のようにしか見えない 肩までのふわふわ栗色の髪にピンクメッシュ 小さな鼻 ふっくらとした頬 紅をひいたかのような濡れた唇にエメラルドグリーンの真ん丸な瞳 その可愛らしい顔で強烈に睨まれる 「怒ってんな~…しゃーないけど」 なぐさめるように苦笑しながら言うネヴィルに苦笑を返す (地味に目立たないようにしようと心に決めてたのにな…) ***授業が終わり昼休み*** 「んで こいつがオレの同室のフェルだ!みんなよろしくしてやってくれな!」 ネヴィルの周りに集まった6人の生徒たちは初等部からの悪友らしい 「こいつ 接触…なんたらで 触られるの苦手だから守ってやってな!」 ニカッといつもの人の良さげな笑みをする 「ちっちぇーな~フェル ほんとに同い年か?」 「まかせとけ! 俺たちがガードしてやるぜ」 「飯食いに行こうぜっ!」 と賑やかで仕方がない 食堂棟に移動し8人で1テーブルを占領する みんなの自己紹介からはじまり 初等部時代の楽しい出来事など話は尽きることがない 美味しい昼食  たわいない楽しい会話 クスクスと笑うフェルにみんな優しかった (しあわせだなぁ…こんなに楽しくていいのかな…) ふと不安になる (悪魔の目を見られなければ…) 左胸のポケットに入れたお守りを服の上からギュッと握り不安を打ち消す (あの人たち… 目を見ても平気だった…) (お守りまでくれた…目をえぐられないお守り…) お守りをくれた銀色の優しい大きい人 そして黒髪の大きい…ジェイって呼ばれてた人… ボクの知っているジェイ… 黒髪に黒い瞳の幸せの象徴 キャーアハハハ 「やだ~こわいよー!」 そういいながらちっとも怖そうではなく 楽しそうに金色の髪を揺らめかせながらブランコに揺られていた 森の木々に縄と大きなカゴで簡易的にブランコを作ってくれたジェイ ブランコなんてものがあることも知らないフェルは 最初は怖がったがすぐに楽しさの虜になった 背中を押してもらって高く高く揺られる 木漏れ日がキラキラ溢れる森の中 幸せだったあの日… ジェイ…ジェイ…… 会いたいよ? 会えるのかな? いい子にしてたらいつか… …… 会いたい

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