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デレック・フルード (3)
茫然自失のデレックたちを小屋に残し
ロジェに命じ急いでフェルに服を着させる
ネヴィルを抱き上げ生徒会棟に戻った
ソファにネヴィルを寝かせ血まみれの顔を濡れタオルでぬぐっていく
「ネヴィ…ル!ネヴィルッ…!!」
泣きじゃくりながらガタガタ震えているフェル
その手をそっと握るロジェに
その存在を今はじめて気づいたと驚き美しい瞳で見る
(天使…ってこのことか…)
アークライトにフェルを見張り守れと言われたあの日
「誰の天使か…まだわかんないけどな…」と独り言を呟いたアーライト
ただの比喩かと思っていたが
そうか…本物の天使だなこれは
「な…んでっ?…ロジェ」
顔を隠しもせずまっすぐとロジェを見るフェル
なんでロジェとアークライトが助けに来たのかわからない
落ち着かせるように1人用のソファにフェルを座らせ両肩に手を置く
「オレがアーク様を呼んできたの」
「…?」
「アーク様に頼まれてずっとフェルの護衛してたからね」
「ネヴィルが時間稼ぎしてくれて良かったよ…」
ソファに横たわりグッタリしてるくせに
ニヤリと笑い親指を立てる悪友
血まみれだったネヴィルの顔は
ほとんどが鼻血だったようで
ケガはたんこぶが数個できただけだった
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アークライトはどこかに電話をかけているようで
「オレだ スグ来い 生徒会室だ」
ぶっきらぼうに言い電話機を置く
フェルに向き直り女神の微笑みで
「安心していいよ あいつらは今日をもって退学にするから」
そんなことができるのかというフェルの視線に
「君たちにしたことを考えると 退学なんて生ぬるいのかもしれないが
あいつらも一応 下級とは言え貴族だから…」
「ごめんね 退学で…勘弁してほしい」
銀色の髪をなびかせ優しい優しい瞳でフェルを見る
(はぁ~…若様ってあんな顔もできるんだな)ロジェはばれないように呟く
「おい!オレを呼び出すとはテメーいい度胸だな!何の用だ!!」
怒りを滲ませガチャリと生徒会室に入ってきたのはジュリアスだった
王子の登場にロジェとネヴィルがあわてて立ち上がる
部屋の中の状況に厳しい顔になるジュリアスの腕を
アークライトが掴み壁へと押し付けた
「若様っ!!」
ロジェが静止するが振り払われる
「なん…」
「もう遠慮しないからな…」
美しい顔を歪めるアークライト
「何がだ!離せテメー いい加減に…!」
ジュリアスの右拳がアークライトの左頬を掠める
王子の拳を優雅に避け胸ぐらを掴む
「フェルをオレのPetit frèreだと公言するから!文句は言わせない!!」
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