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アークライト (2)

どこで何をしていても視線が集まる 移動中も授業中も食事中も 無遠慮な視線と聞えよがしなやっかみがフェルを襲う アークライトのあの宣言の後 ネヴィルとロジェは アークライトに改めてフェルの護衛を頼まれていた アークライトの身分と学院に及ぼす力を考えると 表立って何かしてくる人間は0になったはずだが 心無い中傷までは止められない 『身の安全は保証されたが心までは…ってとこか…』 どこに行くときも必ずネヴィルかその仲間たちがフェルを守った 公言後も学園の中でアークライトとフェルは 生徒会室での週1のおしゃべりしかしなかったため 段々と噂は収まっていった だがフェルの顔色がどんどん悪くなっていってるのに気づいたアークライトは ロジェを呼び出し聞いた 「夜があまり眠れていないようです」 「なぜだ」 「アレ以来悪夢?見るみたいっす」 ロジェではよくわからないのでネヴィルを呼び出す 寮棟 最上階のアークライトの豪華な自室に呼び出され ドギマギが止まらないネヴィルは豪華な応接セットに小さくなってロジェと共に座っていた 部屋着にガウンという超絶カッコイイエロめかしい(?)風貌に 早くも鼻血が噴出しそうなネヴィルだったが 真剣な眼差しのアークライトの質問に鼻を押さえながら答えた 「眠って1時間くらいかなぁ…うなされだすんですよ」 「苦しそうにシーツを掴みながら汗だくで やめて…って」 「やめて…?」 「はい それから ごめんなさい って…」 (いたぃ… たすけて…) (かみさま… ) (ごめんなさい 生まれてきて…) (会いたい…) (…死にたくない いきたい) (シグ… やだ…置いてかないで…) そんな事を言いながら汗だくで目覚めた後 心配するネヴィルになんでもないと言い シーツを頭までかぶり朝まで寝たふりをする 寝ていないこと 小刻みに震えていることに気づいているが デレックの事件以来 接触恐怖症が再発しているフェルには 触れることも出来ないのだと苦しげに言う 「どうしたら いいんでしょうか」 そんなフェルを心配し一緒に寝不足になって目の下に隈を作っているネヴィル 世話焼きのネヴィルらしいと目で微笑むロジェ アークライトは美しい指を顎にあて考え込む (デレックの事件以外にもフェルには何かトラウマがあるんだろうか) (彼の心の中を覗かないことには改善のしようがないのかもしれないな) アークライトは二人に向き直りアドバイスした

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