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小さな姫と7人の従者 (1)

狭い寮の部屋に集まる7人の少年たち ネヴィル・ロジェ・ティノ・クリストフェル・パリス・アドリアン・フランツ 「驚いたのなんのって」 「なぁ!あのフェルが」 「アークライト様のPetit frèreになるなんてよぉ!」 7歳で騎士学園に入学以来 ネヴィルがつるんでいる親友たちが ネヴィルとフェルの部屋に集まっていた 興奮しきりの親友たちが一通り落ち着いたところで ロジェがデレックが起こしたあの暴行事件を全員に話した 「許せねぇな…」 「うむ」 「おれらのオチビちゃんを」 中等部から入学してきた 自分たちより頭半分小さいフェルを みんな気に入っていた 控えめで優しくて なんでも楽しそうに笑って 少し寂しげな新入りを みんな弟のように可愛く思っていた 「で アークライト様が安全のためにPetit frèreにしたってだけで   断じて男色の意味ではないことをわかっててほしい」 アークライト家に仕えるロジェがキッパリと言った 「だがPetit frèreにしたことでフェルの学園生活が   居心地の悪いことになるのは確実だと思うんだ」 「これからも俺ら7人で守っていけばいいじゃん」 アドリアンが言うと残り全員も頷く 「そうだ… そのためにも今から全員でアークライト様の部屋に行く」 「えーーーーーーーーーーーー!!」 ベッドにだらしなく座っていた全員が飛び上がる 中等部の寮棟の最上階は王族・大貴族の子弟専用のゾーンで 誰でも気軽に上がることは許されていない 他の寮とは違い執事や使用人がたくさんいて この階に足を踏み入れる者は厳しくチェックされる ロジェの先導により豪奢な造りに圧倒されながら7人は進む (すっげー) (フッカフカだな) (見てよあの壁 水が流れてるしっ!) (うるさいお前ら落ち着け) アークライトの部屋に入ると 自分たちの部屋の10倍はあろうかという広さの部屋に驚く ベッドが見当たらないしドアがたくさんあるので ここはくつろぐための部屋といったところだろうか その部屋の真ん中に大きな大理石のローテーブルと 5人がユッタリとかけられるほどの大きなソファ3つがUの字型に置かれている その1つにフェルがチョコンと座っていた みんなを見て嬉しそうに白い手をヒラヒラと小さく振る そのフェルの後方に立つ 美しい公爵家長男 銀髪の美神アークライトが皆に座るように促した フェルの座るソファを囲むように 7人はこれまたフッカフカのソファに座った (はぁ~ かっこいい…) (こんな間近で見れてラッキー!) (でかしたフェル!) (シー!シー!) こそこそ話のつもりが聞こえまくりである その様子を楽しげに見ていたアークライト話しだした 「フェルをこのたびPetit frèreにしたのだがその経緯は聞いたよね?」 「はい」「はい!」「は…い」「はい」「はい!!」 ネヴィルとロジェ以外が答えた 「卒業までフェルが安全に過ごせるようにとしたことなのだが そのことによってフェルが口さがない人たちの中傷にあったり また別の心配が発生するので君たちにも守ってほしいんだ」 「別の心配…?」 「うん」

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