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デート (2)

デートの日 食堂で朝食を済ませ借りた服に着替える (アーク様と街におでかけワクワクするけど…  この服みんなは似合ってるって言ってくれたけどホントかな…  顔こんなに見えてるのも不安だ  もしかして悪魔の目って打たれるかもしれない…  ティノには悪いけど学校を出たら髪降ろそ) 引き出しに入れていた銀貨をポケットに入れ アーク様との待ち合わせの校門に向かう 「おい…アレ誰だよ」 「ちっこい金髪ってあの?」 ザワザワとする人の間を縫って 校門へ続く道を駆ける 校門前には数台の車が停まっていて その1台の前にアーク様がいた 真っ白なTシャツに黒のパンツというラフなスタイル 長い髪に陽を受ける優しく美しい人 「ごめんなさい おまたせ…しました!」 ハァハァ息を切らすフェルを驚嘆の眼差しで見つめるアークライト (可愛すぎだろ…) いつもの制服姿とは違い セーラーシャツと紺色のパンツのフェルは格別な可愛さを醸し出していた そのうえ顔を晒しているものだから周りにいる学生たちのざわめきが半端じゃない 「あれってアーク様の…?あの冴えないチビじゃ?」 「は…?まさか別人だろ」 「はぅあっ…天使すぎる…」 なんであんなヤツがアーク様のPetit frèreにと 嫉妬や妬みの的だったちっぽけなチビ はじめて見たそのフェルの容貌にそこにいた全員が納得した アークライトが車の横にひざまづきフェルを見上げるようにして その右手を掲げ手の甲にそっと口づける 「では参りましょうかお姫様」 その光景を見ていた全員が悶絶した 車に乗ったフェルは耳まで真っ赤だった (お姫様って…ボク男だし) 怒ってるのか嬉しいのか恥ずかしいのかわからない感情を持て余す しかも口付けられた右手はアーク様に繋がれたままだ その手が細くて美しくてドキドキする 「良い天気で良かったね」 車窓の風景を見ながらアーク様は普通に話す 空いているほうの手で髪を下ろしながら 「はい…」 と返事をすると 覗き込むようにアーク様がボクの前髪を上げたんだ 「今日は…デートだし上げといてくれないか?」 切なそうな瞳で言う 狭い車内で後退りするが すぐに行き場をなくす 迫ってくる美しい顔 前髪を押さえた手は後頭部へと周り つないだ手を持ち上げまた口づけた 「でも…顔見られたら…」 顔が近い…またキス…される? 「だいじょうぶ ボクが守るから」 真っ直ぐに見つめてくるマラカイトグリーンの瞳が美しく 気づけばコクンとうなずいていた

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